保護者の不安は消えない
しかし別の母親は、それだけでは割り切れない複雑な心情を吐露した。
「受験を控えた6年生がいるので、閉校にできないという事情もわかるのですが、私たちも娘にどう説明すべきかも含め、受験自体をやめようかということも考えざるを得ません。受験を続けるために塾を変えるにしても、その塾がはたして安全なのかどうかもわからない。夏休みが明けて学校が始まれば、友だちから四谷大塚○○校に通っていたという目でも見られるでしょうし……」
保護者たちは不安を払しょくできずにいるが、実は森容疑者は逮捕前、「キッド」のハンドルネームで主宰していたSNSのメンバーに、四谷大塚の同僚講師に「同好の士」がいることを伝えていた。取材班が新たに入手したグループチャットで、キッドは
<すごいことが発覚しました。先輩講師がロリコン気質を持っており、Dさんを狙っていたんです。昨晩、泊まりにいった際に、お互いに暴露しました>と報告。
さらに「証拠」として、その先輩がDさんの盗撮に失敗した様子を自分に伝えてきたLINEのやり取りをアップしていた。
森容疑者は「集英社オンライン」の直撃取材の際、盗撮について「(チャット内で)そういう話もしてましたけど、あくまで私がしていただけ」と同僚の事件の関与を否定していた。「同僚に“同志”はいない」とも話していたが、これらSNSでのやり取りを含めた記録は警視庁も押収しており、捜査の進展が待たれる。
教え子と保護者の信頼を100%失った森容疑者とは、いったいどういう人物なのか。逮捕当日の19日夕方、東京都日野市の自宅を訪ねた。登記簿謄本で確認すると、2017年に新築されたばかりの瓦屋根の2階建て住宅だ。自宅前で様子をうかがうと、弟らしき若い男性が姿を現した。ワイシャツにスラックスというエリートサラリーマン風のたたずまいだ。
「崇翔さんの弟さんですよね」と記者が声をかけると「家族です」と続柄については答えず、淡々と「家族としての見解だけを話させていただきますが、それだけでいいですか?」と確認を求め、こう話した。
「事件のことは聞いておりまして、私としてもそれは家族として慎重に重く受け止めております。私たちにできることは、被害者の方々のフォローを彼が専念してできるようにサポートしていくことです」
森容疑者から何を聞いていたのかを確認すると、「なんて? 報道の件があったという風に聞いているので。それを私も軽く拝見して、まぁ、あの、そこは重く受け止めてますので…」と答えが返ってくるばかりだった。