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1日500件を検査、どうやってそれだけの数をこなせたのか?

集英社オンラインは3月、都内のある医療法人が「無料PCR検査」などで丸儲けをしている実態を詳細にリポートした。その後もコロナ利権についての取材を進めたところ、保健所職員から改めて詳細な証言を得ることができた。

〈5類引き下げでも温存されたコロナ利権〉倒産寸前の委託企業がPCR検査で大儲け、再感染を装い保険金を二重どり‥‥保健所職員が涙の告発!_1
♯1にて医療法人の“コロナ利権”について告発したA氏
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PCR検査は新型コロナウイルスのパンデミック宣言をしたWHO(世界保健機関)が検査法として定めたが、取り扱いも各国ごとに異なるなど不透明な部分も多く、十分な検証もなされてこなかった。それらについては後に詳述するが、各国が緊急事態宣言や都市封鎖などに踏み切る中、政府やマスコミが連日こぞって「日本はPCR実施数が少ない」と連呼することで、全国各地の保健所に検査依頼が殺到、民間の検査機関も次々と参入していった。ちょうど3年前の今頃の時期だ。
保健所職員はこう証言した。

「ここは田舎なので首都圏のような民間大手検査機関がありません。PCR検査も保健所でやるしかなく、過去にないほどの多忙さを経験することになりました。そのうちウチだけでは捌けなくなり、民間委託を募ったところ、細々と経営していた小さな検査所が挙手したのです。他に検査可能機関がなかったことを理由に、その会社は1検体1万4000円という破格の値段で受託し、患者が多くなると月の振込額が5000万円を超えることもありました。千円にも満たない廉価な試薬を使っていたので、純利益は破格だったと思います。『検体が来ると札束に見える』とまで言っていましたから。

その上、国がPCR検査機器の全額購入補助事業を行ったため、同社は数千万円する高精度な自動PCR装置をタダで手に入れた。ところがその装置は用いる試薬が高額なため、コロナ検査は従来の装置で実施し、腫瘍マーカーやホルモン、免疫系検査といった他の保険点数の高い項目の検査に使用しているのです。

この繰り返しの3年間で、倒産が噂されるような小さな事業者だった同社は社屋を拡大し、新事業に着手して県内に複数の営業所を開き、幹部は高級車を乗り回すようになりました。きっと同様のことが多数の自治体で起きていると思います」

〈5類引き下げでも温存されたコロナ利権〉倒産寸前の委託企業がPCR検査で大儲け、再感染を装い保険金を二重どり‥‥保健所職員が涙の告発!_2
民間企業に委託されたPCR検査(写真はイメージ)

同社が請け負った検査は、正確性にも疑問符が付くと言う。

「PCR検査は機械の内部が少しでも汚染されてしまうと検体が全部ダメになってしまうので、操作には必ず2人以上がついて読み合わせもするのが原則です。ところが同社は夜間は2人配置していたものの、日中は1人だけで、多い時は1日500件ぐらい検査していました。
ウチは6人で1日400件ぐらいやったことがありましたけど、それでも休憩は全く取れなくて、私はこの3年間で膀胱炎に3回もなったほど激務でした。同社はブラックもいいとこで、どうやってその態勢でそれだけの数をこなせたのか想像もつきません」