【私のウェルネスを探して】武内由紀子さんが「特別養子縁組制度」でふたりの子どもを迎えたことを発信し続ける理由_1

引き続き、武内由紀子さんのインタビューをお届けします。
4歳の長男、2歳の長女の育児に奮闘中の武内さん。特別養子縁組制度で子どもを迎えた今、一番の悩みは「言うことを聞いてくれない」「元気すぎてお昼寝をしない」長女のイヤイヤ期について。後半では、その苦労を楽しく語ってくれました。普通の家庭も特別養子縁組で子どもを迎えた家庭も差は何もない。それを知ってもらいたいと、メディアで発信を続ける理由について聞きます。(この記事は全2回の2回目です。前編を読む

慎重な長男と天真爛漫な長女、対照的な兄妹

武内さんの毎日は、慌ただしく過ぎます。平日は6時に起床、朝ごはんやお弁当を作り、長男を幼稚園バスまで送り。その後、長女と昼ごはんを食べ、15時には長男が家に戻り、公園に出かけたり一緒に遊んだり。そして夜ご飯を作って食べ、8時には就寝という子ども中心の生活です。

「一番大変だったのは、長女が1歳、長男が3歳の頃ですね。長女の離乳食、歩き始めた頃で手がかかる時なのに、長男の癇癪が出たりして。同時期に引っ越しもしたので、大変な1年でした」

【私のウェルネスを探して】武内由紀子さんが「特別養子縁組制度」でふたりの子どもを迎えたことを発信し続ける理由_2

長男は慎重な性格ですが、長女は元気いっぱいな天真爛漫なタイプ。とても対照的な兄妹ですが、1人目を迎えようと思った時、最初からきょうだいで迎える予定はなかったと振り返ります。

「子どもが欲しいと思った当初は、もちろんきょうだいがいることが理想でした。しかし不妊治療を始めてからは、とりあえず1人でいいやという気持ちに。長男を迎え、1年くらい子育てをしてみた後、やっぱりきょうだいが欲しいと思うようになって。団体に相談をして2人目を迎えました」

子育ての苦労も、幸せのひとつだと思っている

武内さん一家4人家族が暮らす自宅は、高台の上に立つ、日当たりのいい一戸建て。大きな窓に囲まれたリビングは吹き抜けで、明るい光が差し込みます。夫の趣味だという古びた味わいのあるインテリアに、ジャングルジムや鉄棒、お絵かきセットから楽器まで、おもちゃがずらりと並びます。パン屋を経営する夫は朝早く出て、帰りは10時ごろ。コロナ禍もあり、ほぼ育児はワンオペで、あまりの大変さに根を上げてしまうこともあると言います。

「今49歳なので、体力的なものもあるし、更年期のイライラもあるのか、すぐに怒っちゃうんです(笑)。スタミナ切れで、疲れてソファから立ち上がれなくなることもありますね。最近やっと2人で遊んでくれる時間も出てきて、その瞬間はふっと楽になりますね。来年長女が幼稚園に入るので、そこでやっと小休止かな、と思います」

【私のウェルネスを探して】武内由紀子さんが「特別養子縁組制度」でふたりの子どもを迎えたことを発信し続ける理由_3

元気いっぱいの長女は、取材中もずっと武内さんのそばでお絵描きをしたり、体を使って遊んだり。「この子、すぐに脱いじゃうんです。オムイチ(オムツ一枚)になっちゃうかも(笑)」と笑いながらも、娘さんの問いかけに丁寧に返事をする武内さん。肩車をしてもらい、ご満悦な娘さんの表情から、嬉しい気持ちが伝わってきます。

「“お母さん、お母さん”と呼ばれすぎて、『もうお母さんて、呼ばんといて!』と思うほど(笑)。ずっと、お母さんと呼ばれたかったはずなのに、今は浴びるほど聞いているという贅沢な話です。子どもが大きくなった時に、『そういえば、お母さんって呼ばれまくっていたな……』と振り返ると、私はこれがしたかったんだと思い返すはず。この苦労も幸せのひとつだと思っています」