「あのとき私は間違いなくアイコでした」松井玲奈が惚れ込んだ恋愛小説が実写化_1
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等身大の女の子

――9月16日に公開される映画『よだかの片想い』は、松井さんご自身が、実写化を強く望まれた…と伺いましたが。

夢の中に出てくるような恋物語じゃなく、アイコという等身大の女の子が、現実の恋愛をしているのにすごく惹かれて。時には暴走したり、時には妄想の世界に嵌ったり。誰もが、一度は、こういう恋…好きな人に対してまっすぐに突き進むという経験をしたことがあるんじゃないのかなぁと思いながら、一気に読み終えて。すごく映像的な作品だなぁと思ったのが始まりでした。

――そこから、話はとんとん拍子に進んだ?

いえ。それが…そうでもなくて(笑)。ずっと心に残ってはいたんですが、自分が…とまでは思っていなくて。スタッフの方から、自分が演じてみたい役ってある? と訊かれたときに、パッと頭に浮かんだのがこの『よだかの片想い』のアイコだったんです。そのとき、はじめて、“あー、私はアイコを演じたいとずっと思ってきたんだ”という気持ちに気づいて。それが…4年? 5年? それくらい前のことです。

――松井さんをそれほどまでに惹きつけたアイコの魅力とは?

言葉にするのは、難しいなぁ。そうですね、なんだろう?
まず、何に対しても、まっすぐなところ。友達に対しても、好きな人に対しても、周りにいる人たちに対しても、すごく臆病なんだけど、まっすぐで。その姿勢がすごく好きで、そこに惹かれたんだと思います。
それと、もうひとつ。初恋の、わっと、燃え上がる炎の感じが鮮やかで。人生に一度しかないその瞬間を見てみたい、演じてみたいと思ったのを覚えています。

――それって、自分にもそういう部分があるからですか!? それとも、自分にはないところだから余計に惹かれた?

どっちなんだろう!? 自分ではわからないです。でも、当時、読んだときは、自分にとっても、ものすごくセンセーショナルで。物語としては、決して派手ではないけど、それまで、世界の中心は自分だけだったアイコの前に、いきなり、好きな人が現れて。その瞬間、世界の色がそれまでとは違う色に見えてしまう…その中で、アイコのまっすぐさがとても綺麗だし、その、まっすぐさが羨ましいなぁと思いました。

――撮影期間中は、ずっとアイコになっていた?

なれていたというか、ちゃんと、アイコを理解できていたと思います。撮影に入る前からずっとアイコのことを考えていて。撮影期間中も、ずっとじゃないですけど、どこか頭の隅でアイコのことを考えていて。これまで、いろんなテレビドラマ、映画づくりに参加させていただいてきましたが、いつも以上に、台本と向き合っている時間も長かったですし、アイコでいた時間が長かったですから。