「今も『別マの中にいるんだ』と不思議な感じがします」

——「マーガレット」と「別冊マーガレット」は今年で60周年です。椎名先生も「別冊マーガレット」でデビューして以来30年以上描き続けておられます。

60周年なんだ!と歴史を感じますし、節目にまたいられてうれしいなと思います。今は連載していないですが、まだ別マにいるつもりなので(笑)。

読者時代から別マで育ってきているので、読者としての気持ちが結構強いんです。今も「あ、中にいるんだ」という不思議な感じがちょっとします。

——15年前のインタビューで、ご自身の「根っこ」 は「“少女マンガ”であること、ですかね。結局自分の気持ちのよい方向で描いていくと私はこういう形になるのかなと。“きれいごと”を描きたい」とおっしゃっていて、素敵な言葉だなと思いました。

ずっとそんな感じですね。自分が描くのは少女漫画がいいなと思います。漫画だけでなく、映画とかドラマも含めて物語を見ていると、私が「わーっ」と感動するのって美しいものなんですよね。ちょっと悲しいものも好きなんですけど、それも含めて美しいものが好き、というか。

一生懸命な人は応援したくなるし、読んでいて気持ちがいいんです。登場人物を友だちみたいに思って読みたい。そういうものを普通だと思って生きて来たから、というのもあると思います。

——無理してではなくて、ご自身が普通だと思ってきたものを描いているから、先生の作品がスッと入ってくるのですね。

自分にないものは出てこない、と気づいたんだと思います。「荒んだ世界、かっこいい!」みたいな時代も、読者としてはあった気はするんです。でも別マにそれを求めていたかというと、自分はそうではなかったかなとも思いますしね。