合格率9.9%の超難関を突破し、「一級建築士試験」に合格。女優と一級建築士という異次元の二刀流を成し遂げた田中道子が明かす苦闘の1年3ヵ月_1
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ただの夢物語だった一級建築士への道

――建築に興味を持ったきっかけから教えていただけますか。

いわゆる建築業に興味を持ち、一級建築士を目指したのは、大学に入学してからです。最初は、ゲーム…ファイナルファンタジー(FF)が大好きで、ゲームのマップを作る仕事がしたくて、地元・静岡の文化芸術大学空間造形学部に進学したんですけど、入学してみるとまさかのリアルな建築系のコースで(苦笑)。入学当初はやっていけるのかなと、不安だらけの毎日でした。

――建築の面白さに気づいたのは?

大学の教授が同じ建築でも都市全体のデザイン専攻の方で。仮想と現実の違いはあるんですけど、やればやるほど面白さがどんどん深まっていき、大学の後半くらいには“将来は一級建築士の資格を取り建築士になろう”と決め、大学を卒業してすぐに二級建築士の資格を取りました。

――そこから芸能界へとまさかの方向転換でした。

そうなんですよ(笑)。二級建築士の資格を取ったすぐ後、今の事務所の社長(現会長)にスカウトしていただいて。一瞬だけ迷いましたが中学の頃に一度は憧れた世界だし、若いときにしか挑戦できないのはこっちだろうと思い、「よろしくお願いします」とお返事していました。

――一級建築士の夢はそこで一度諦めた?

一級建築士の試験を受けるためには2年間の実務経験が必須で、入社後すぐ社長に「2年休ませてください」ってお願いしたんですけど、「お前はここに何をしにきたんだ!」とめちゃめちゃ怒られて。当然ですよね(苦笑)。それでも“いつか一級建築士になりたい”と思っていたし口にもしていましたが、憧れというか遠い夢のようなものになっていました。

――今回その夢が復活したのは?

2つあって、ひとつは受験条件が緩和され、必須とされていた2年の実務経験が試験合格後でもOKになったことです。私にとってはこれが追い風になりました。

――もうひとつは?

コロナ禍で女優の仕事が激減したことです。最初はインテリアコーディネーターや宅地建築士の資格を取ろうかなと勉強し始めたんですが 何か違うぞと思って。そうだ、私は一級建築士になりたかったんだと一度は人生の選択肢から外れてしまった学生の頃の夢を思い出して。

学科試験合否の目安は、1年で1,000時間の勉強と言われているんですが、今だったら時間を確保できるし、どれくらいできるか、まずはやってみようと思ったのがスタートでした。

――勉強は順調に進んだ?

いやそれが…。緊急事態宣言が明けた後、有難いことにドラマや映画の仕事が以前と同じようにいただけるようになって。嬉しいんですけど、頭の中で組み立てていたスケジュール通りにいかないことがしばしば生じて(笑)。マネージャーさんに「このスケジュールだと、学校(総合資格学院)に行けない」とわがままを言ったりもしていましたね(苦笑)。