渋スギ技術に感動の嵐!

「文字書き職人」と呼ばれる人がいる。主に商店の看板、町の標示板などに手書きで文字を入れる職人のことだ。しかし、その「文字書き職人」は、現在では大変貴重な存在になっている。

なぜなら、今や、デジタル出力した文字を使うことがほとんどだからである。「プロッター」という巨大プリンターのような装置を使えば、お望み通りの文字を簡単に印刷することができる。かつて、看板や標示板の文字はほとんど手書きだったが、便利な機械の登場により、その専門職はほぼ消えてしまった。

そんな時代にあって、大阪府の南部、貝塚市に現役の「文字書き職人」がいると聞いた。「サインズシュウ」という屋号で看板制作を請け負っている上林修さんがその人である。

作業場に到着すると「めっちゃ散らかっててすんません」と、上林修さんが出迎えてくれた。

【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_01
看板屋「サインズシュウ」を営む職人・上林修さん
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【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_02
手の届く範囲に色々な物がある上林さんの作業場

上林修さんに伺ったお話へと進む前に、まず、「文字書き職人」の技術がどういったものなのか、以下の動画をご覧いただきたい。

上林さんの文字書き作業の模様を早回しした動画なのだが、駅名標、キリスト看板などをモチーフに、非常にバランスの整った文字を書いていく様子が映っている。丸ゴシック体の美しい曲線が手仕事によって生み出されていく様は見ていて心地いい。驚くのは下書きなど一切せずにフリーハンドの一発勝負で書いていることだ。まさに神業といった感じである。どうしてこんなことが可能なのか、まずは上林さんの経歴から伺っていこう。

ちなみに上林さんは、文字書きの作業をしながら回答してくれている。

【スゴ技動画アリ】“即興広告”でバズらせた昭和気質な超稀少職人サインズシュウの仕事術_03
取材時、上林さんは銭湯に設置される「鏡広告」を制作していた。文字を入れる前におおよそのバランスをイメージするという