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KEIO Mental #23
人を喜ばせたいという気持ちが大きな力になる

ぼやっとした目標が輪郭をつくる

目標の達成にはある「大きな力」が欠かせません。

それは他人を喜ばせる力です。SBT(スーパーブレイントレーニング)では「他喜力」と呼びます。対する言葉が「自喜力」です。

たとえばビジネスだったら、「他喜」とはお客さんの幸せでしょう。選手たちにとっては誰なのか。親か家族かもしれませんし、友人かもしれません。試合に出られない仲間かもしれません。

人間とは自分と同じくらい、他人を喜ばせることが好きなのです。その理由は、私たちには人を喜ばせたいという本能があるからです。

嬉しいという喜びの気持ちをもたらす素、動機付けには自喜と他喜のふたつがあります。

この項目では他人を喜ばせることに主眼を置いてお話をしますが、自喜と他喜はどちらも大切なものです。なぜなら、自喜は自分自身の行動意欲や行動力を高める「楽しい」「ワクワク」というプラス感情であるからです。

「喜ばせたい人10人」を記入して甲子園優勝を勝ち取った慶応メンタル。やる気が1万倍にもなって長続きする「他喜力」の強さ_1
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SBTの講習の他喜に関するワークの中で選手たちに、喜ばせたい人の名前とその理由について10名分書いてもらいました。

そして、そのなかで一番喜ばせたい人を選んでもらい、その人を喜ばせるイメージトレーニングを行いました。この最も喜ばせたい一人のことを「No.1サポーター」と言います。これまでの経験では、「No.1サポーター」として母親を挙げるケースが最も多く、便宜上ここでは母親とさせてもらいます。

自分が大きな目標を達成して、母親を喜ばせるシーンを想像してもらいました。優勝した瞬間に、母親はどこにいて、どんな表情をしているのか、後で自分にどのような言葉をかけてくれるのか。その時の様子をできるだけ詳しく思い浮かべると、思わず涙を流してしまう選手もいます。

そのあとは4〜5人のグループになって、イメージトレーニングを行った実感について話し合ってもらいました。

皆一様に「がんばろうと思った」「力が湧いた」と前向きな感想が多く、やはり他人を喜ばせたいという思いが私たち人間にはあるのです。

それまで、ぼやっとしていた人を喜ばせたいという気持ち、その輪郭がくっきりすると、誰かを喜ばせたい、誰かのために、という思いが大きな力になるのです。