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2021年“打倒・青山学院”からの“駒大”の復活

第100回を前に箱根駅伝は爛熟期に入った。優勝を狙うチーム、常連を目指すチーム、そして出場を目指すチームと、様々な大学の思いが交錯し、かつてないほどのハイレベルな環境で競争が行われている。

そのなかで2015年以降、各大学にとっては青山学院が目の上のたんこぶになっていたが、21年の大会から様相が変わってきた。

この年は十中八九、創価大学が優勝を手中にしていた。

創価大は4区で嶋津雄大(都立若葉総合出身の彼は、東京都高体連の第5・6ブロックの大スターである)がトップに立つと、往路優勝。復路に入っても各走者が安定して走り、8区終了時点で2位の駒大に1分29秒差をつけていた。追う駒大とすれば、ひっくり返すにはギリギリのラインである。

ところが、創価大は9区で決定打を放った。

4年生の石津佳晃が区間賞を獲得し、3分19秒にまで差を広げたのである(石津はこのレースをもって現役を引退し、一般企業に就職すると聞いていた。いまは、走っているのだろうか?)。

これは、安全圏。誰もがそう思ったはずだ。ところが──。

創価大の小野寺勇樹が大ブレーキとなって駒大が大逆転。駒大は、実に13年ぶりの優勝を手にしたのである。

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これほど劇的な逆転劇は、箱根ではそうそう起きない。そしてこのレースを見て、かつて大八木監督が私に話していたことを思い出した。

「いつでも3位以内、どこでも3分以内につけてるって大切なことなんだよ。駅伝はなにが起きるのか分からないから」

最終区で3分以上も離されていたものの、駒大は2位につけていたからこそ、大逆転することができた。途中であきらめていたとしたら、逆転劇はなかった。

逆に、創価大の榎木和貴監督にしてみれば、千載一遇のチャンスを逃したことになる。