#1 戦国の世きってのダークヒーロー 
#2 運命の主君、浦上宗景との出会い
#3 主君からの非情な命

戦国時代の備前の大名たち

いまの岡山県の東南部から兵庫県赤穂市の一部などを指す備前地域。平安時代から優れた刀工が集まり、長船派(おさふねは)など様々な流派が鍛えた刀は、「備前物」として時の権力者によって愛されてきた。また備前焼もこの地域発祥で全国に広まった陶芸品だ。

そんな備前の地の戦国時代、守護代の浦上氏が、主家の赤松家を追い出し、支配を試みるも、近隣の山陰で勢力を伸ばしつつあった尼子晴久(あまごはるひさ)や備前西部に力を持っていた松田氏との争いに苦戦、なかなかその地を治められずにいた。

そんな中、戦国時代の末期に、浦上家の家臣である宇喜多直家(うきたなおいえ)が浦上氏を追い出して備前国を支配する。のちの跡取りの宇喜多秀家(うきたひでいえ)が、関ヶ原の戦いで敗れるまでこの地域を支配した宇喜多家の成功は、一代で勢力を拡大した宇喜多直家の活躍によるところが大きい。

お金と時間がかかる「戦」ではなく、「暗殺」による効率よい邪魔者の排除を好んでいたという宇喜多直家の生涯を描いて漫画、『殺っちゃえ!! 宇喜多さん』が今大人気だ。

担当編集者に、人気の秘密を聞いた。

――単行本が発売されて約1ヶ月。数字が好調だと聞いています。寄せられた反響があれば教えてください。

もともと歴史が好きな読者さんにしても「え、この武将やるの?」という驚きと期待が入り混じった感想をいただいており、売れ行きも好調です。

先だって宇喜多直家の地元である岡山県の新聞社様に取材していただきましたが、これからも宇喜多直家という武将をどんどん売り込んでいきたいですね。


次のページからは、宇喜多直家が歴史に名を残すことになった、最初の暗殺シーンを紹介する。