浅草六区で開業した日本初の常設映画館
東京・京橋の国立映画アーカイブの展示室で、日本の映画館の歴史を振り返る展覧会「日本の映画館」が開催されている(4月12日〜7月17日)。
長期化するコロナ禍で、アップリンク渋谷(東京)、岩波ホール(同)と一時代を築いた劇場の閉館が象徴するように、映画館は今、非常に厳しい状況に置かれている。その中で映画館に人々が集うことの意義を再確認すると同時に、映画の持つパワーを映画館という場所から捉え直す好機になればと企画されたという。
日本初の常設映画館は、1903年(明治36年)に東京・浅草で開業した電気館。その歴史は今も高崎電気館(群馬)、Denkikan(熊本)といった劇場名に受け継がれている。映画館という単体の劇場は、映画全盛期の1960年代には全国で約7000館あったといわれている。しかし1990年代からショッピングモールなどに併設された複数のスクリーンを持つシネマコンプレックス(通称・シネコン)が主流となり、2021年12月末時点の数は、シネコンが3229スクリーンを擁しているのに対し、一般館は419スクリーン(一般社団法人日本映画製作者連盟)と、およそ8:2の割合である。10〜20代の中にはシネコンしか知らないという人も多いだろう。
そんな中で同展は、映画館が街の発展に寄与し、戦争や災害といった社会情勢に対して映画復興の光となり、さらには文化の発信地となっていった歴史を、4章に分けて展示している。