1位 『フィリックスガム』 丸川製菓株式会社

堂々の第1位は我々の世代から今の子どもまで、誰もが目にしたことがあると思われる有名商品。10円あったらとりあえず思い出すのはチロルチョコかフィリックスガムだったはずだ。

「うまい棒」12円に値上げも、“まだ10円で頑張ってる駄菓子”ベスト5_j

中央がくぼんだ成形で、これを2つに割って半分ずつ大切に食べたものだった。10円駄菓子は、アメかガムの比率が非常に高く、最後の10円でどれを買うか迷う中には、必ずフィリックスがいた。

数十年ぶりにこのガムでフーセンを作ってみたところ、半分だとフーセンをふくらませるには量が足りないので、1個まるごと咀嚼する必要があった。おとなになって馴染んだガムに比べて非常に柔らかく、すぐに甘みも香りも消えてしまう。まるでマッチ売りの少女が見た幻想のごとく、しばしの間、こどもの頃の思い出を蘇らせてくれた。

「うまい棒」12円に値上げも、“まだ10円で頑張ってる駄菓子”ベスト5_k

これらの駄菓子達も、「うまい棒」同様に今後少しずつ価格が上がるかもしれないし、そのうち10円で買える駄菓子はなくなってしまうかもしれない。

おとなになれば2円や5円の値上がりは気にならないかもしれないが、10円という価格設定には、少しでも多くのこどもに喜びを提供したいという企業側の願いが込められているはずだ。

また、こどもたちにとっても10円で買える駄菓子はきっと、最小単位の幸せであり、象徴だろう。おとなになってからもその小さな幸せは、私と同じようにふとした瞬間に思い出として甦るに違いない。だから10円の駄菓子を、忘れないでほしい。

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イラスト・撮影/柴山ヒデアキ
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