冤罪が疑わしい同様の事件
1992年、福岡県飯塚市で小学1年生の女児2人が殺害される事件が起こりました。「飯塚事件」です。犯人として逮捕された久間三千年(くま・みちとし)さんには死刑判決が出されました。
このときの最大の決め手は当時、捜査に採用され始めたDNA鑑定です。DNA鑑定で「クロ」と出た以上、久間被告が犯人に間違いないと、マスコミはこぞって報道しました。
しかし、後年になってこの鑑定は、科警研がデータを加工していたことが判明します。その事実を突きとめた弁護士らは、裁判所に再審請求をしますが、裁判所は、DNA鑑定が覆されようともその他の証拠で犯行を証明できるとして却下しました。
これは和歌山カレー事件と全く同じパターンです。唯一違うのは、犯人とされた久間さんはすでに死刑を執行されているということだけです。
「林眞須美という存在は、司法・マスコミ・学会などの健全さを示すリトマス試験紙となっている」(『鑑定不正 カレーヒ素事件』 P208)。
河合教授のこの言葉を出すまでもなく、私たちマスコミは常に試されているのです。
※この和歌山カレー事件は、過去の冤罪事件と同じような経過をたどっていると筆者が感じているために、林真眞美さんは確定死刑囚ではありますが、ここでは「さん」を付けさせていただきました。
文/宮村浩高