コラボ公演ヒットの鍵は「リスペクト」と「協力体制」

ーー2021年2月にはサンリオピューロランド(以下、ピューロランド)とタッグを組み、オンライン演劇『VIVA LA VALENTINE』を上演しました。オリジナル公演を制作していた皆さんが企業とコラボすることになったのは、なぜですか?

広屋 『VIVA LA VALENTINE』に関しては、オリジナル公演『むこうのくに』を見たピューロランドの担当者さんから「なにか一緒にできないか」と連絡をいただいたのがきっかけです。当時、どこかとコラボをするということは考えていなかったので驚きました。

コロナ禍で注目、企業やアーティストとコラボ「ノーミーツ」が歩んできた2年間とこれから_c

ーーコラボ相手のいる公演は、どのように作り上げているのでしょう?

 こちらから企画を提案し、お互いが「おもしろい」と納得した上で形にしています。制作が始まってからは、アイディアを出し合いながら作り上げているので、ノーミーツとコラボ相手、という垣根なく、1つのチームとして取り組んでいますね。

小御門 そもそもノーミーツ自体が立ち上げから2年しかたっていないこと、さまざまな職種のメンバーが知見を持ち寄って形成されている集団であることもあって、独自の文化や言語がないんです。だから言語が違うことによる難しさを感じることなく、ただ単純に掛け合わさった相乗効果を楽しんでいます。

広屋 今のところ僕たちが無邪気に企画を提案した時に「いいね!」と賛同し、おもしろがってくださる方とご一緒できているんですよね。だから、知見を共有するというよりは、林の言った通り一緒に肩を組んでいる感覚に近いんです。

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ーーコラボ公演では、劇中の小ネタや的確な解釈で、コラボ相手のファンが満足しているのも印象的です。

小御門 ご一緒するIPへのリスペクトや、価値への理解を大切にしているんです。『あの夜を覚えてる』については、ニッポン放送で働いている人たちにインタビューをしたり、担当の方と「ラジオがテーマなら、ここは外せないよね」というアイディアを出し合ったりして、脚本を作りました。だからこそ「ラジオ好きでよかった」という感想は本当に嬉しかったですね。

広屋 企業の方と「こういう要素を入れたら」とディスカッションするだけでなく、相手を知ることは怠らないようにしています。例えばピューロランドでの『VIVA LA VALENTINE』の時には、制作チームと共にピューロランドに足を運び、どんな方が多いのか、どういう風に遊んでいるのかというのを見に行きつつ、自分たちが来館者としてピューロランドを楽しみ、その上で担当者さんとお話ししました。

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ーー次回の公演『夢路空港』では、実際の空港を貸し切って、JALさんの協力のもと進めているとうかがっております。

広屋 石川県にある小松空港から生配信をします。24時間動いている空港という場所で、営業時間終了後の真夜中24時に開演するのですが、遅い時間からの公演を見てもらえるのかはドキドキですね。また、これまでのように出演者を追う方式ではなく、固定のカメラを設置し、こっそり覗き込むような見せ方に挑戦しようとしています。現地入りできるのは不安なのですが、そこの挑戦がうまくいくかどうかを含めて、楽しんでいただきたいです。