「エンタメ業界、どうする?」の中で実験的に旗揚げ

ーーそもそも「劇団ノーミーツ」はどのように生まれたのでしょう?

広屋佑規(以下、広屋) 2020年4月5日にZoom上で出会い、その4日後の4月9日に「劇団ノーミーツ」を結成しました。3人とも映画や演劇に携わる仕事をしていたのですが、コロナ禍で活動ができなくなっていて「自粛しながらも、なにかできることはないか」と考え、実験的に始めることにしたんです。

小御門優一郎(以下、小御門) そもそも僕と広屋さんは、その日が初対面だったんですよね。「ノーミーツ」という名前も、緊急事態宣言中の期間限定ユニット的な気持ちで付けました。

林健太郎(以下、林) 僕は立ち上げ前から広屋さんとも小御門とも仲が良かったのですが、正直そんなに頻繁に合うような間柄ではありませんでした。ただ、映像作品としてきちんと成立しているZoomでの演劇をやりたいと考えたときに、企画や映像、演劇ができる人として思い浮かんだのが2人だったんです。

ーー初の長編公演『門外不出モラトリアム』は、当時かなり話題になりました。今、振り返って、なぜ話題になったと考えていますか?

コロナ禍で注目、企業やアーティストとコラボ「ノーミーツ」が歩んできた2年間とこれから_b

広屋 スピード感を持ってオンライン演劇という新たなジャンルを成立させられたからかなと思います。1回目の緊急事態宣言が発令されたとき、エンタメ業界では「これからどうなるんだろう」という不安が漂っていました。その中で、1つのアンサーとして提示した、この挑戦をおもしろがっていただけたのかなと思いますね。

小御門 僕は、自分たちが持っている演劇や映画の思考を集約させるのではなく、オンライン演劇という新しいフィールドで、0からおもしろいものを作るという思考も良かったのかなと思います。

 同時代性のある内容も評価していただけました。『門外不出モラトリアム』は、4年間フルリモートで過ごしていた大学生活の青春物語なのですが、コロナ禍でどうやったら希望を描けるのかという作品テーマに共感の声が集まったんです。