30歳で『めちゃイケ』出演、“OL大久保さん”としてブレイク

30歳の時に、光浦さんが先に出演していた『めちゃイケ』への出演が決まります。『めちゃイケ』は1996年から放送開始され、2018年まで続いたロングラン番組。“OL大久保さん”を世間に知らしめたのもこの番組でした。

「30歳の節目から関わらせてもらえたのは大きかったですね。大きな刺激をもらって、人間関係もできて。そこから18年間は、ひたすら忙しく、走り抜けた時期でもありました。楽しかったかどうかは一概には言えないんですけど(笑)日々、目の前に繰り広げられることが大きくて、刺激的な日々の連続でした」

大久保佳代子さんが「恋愛」よりも「お笑い」「仕事」を優先した理由【私のウェルネスを探して 大久保佳代子さん 前編】_6

さらに情報番組のレギュラー出演、女優業など、仕事の幅は広がります。「こんな仕事もできるんだ」と驚きつつ、忙しい日々に追われ、気づいた頃には45歳。恋愛するにはプライドが邪魔をしたり、難しい年齢になっていたと言います。現在51歳、仕事に向き合い続けた20年近くの時間は、恋愛や結婚に変え難い経験だったと言います。

「お笑いが好きで、お笑いが好きな人と一緒に作り続けられる。刺激的で、『こんな楽しい毎日があるんだ』と思いました。落ち込むこともありましたが、仕事だから楽しくなくてもいい、刺激的だから恋愛しなくてもいいかもと思っていました。もちろん、30代で恋愛をしていた時期もありました。だけど、恋愛の体験談や失敗談は、トーク番組でネタにもなるし、盛り上げることもできる。お笑いという“別世界”があることで、辛い経験をどんどん上書きできる。上書きできるものがあれば、恋愛や結婚では幸せになれないんですよね」

毒舌・エロキャラは「求められることで自然と完成していった」

お笑いの世界では、恋愛体験も失敗談も全てお笑いに変換できる。それを糧に仕事を充実させていった結果、「ひょっとしたら、ちゃんと恋愛に向き合えていなかったのかもしれない」と反省する部分も。また、大久保さんの代名詞とも言える毒舌や下ネタを強調したキャラクターも「求められることで自然と完成していった」と明かします。

大久保佳代子さんが「恋愛」よりも「お笑い」「仕事」を優先した理由【私のウェルネスを探して 大久保佳代子さん 前編】_7

「私はもともと、人の悪口とか毒を吐く人間ではなかったんです。エロいことは言っていたと思いますが(笑)表立って言うほどではありませんでした。その要素が求められるようになって、繰り返し続けていくことでキャラクターが完成していきました。毒を吐く自分とふだんの自分、正直どっちが本当の自分なんだろうと思う時もあります。とはいえ、もともと自分にあった要素を引っ張り出して膨らませているだけなので、それに乗っかっちゃえばいいんだと気づきましたね」

自分が持っている要素から求められているものを引き出すこと。それが仕事を続けていく上で大事だと気付かされたそうです。

大久保佳代子さんが「恋愛」よりも「お笑い」「仕事」を優先した理由【私のウェルネスを探して 大久保佳代子さん 前編】_8

「まわりが自分を作っていくんです。求められたことを膨らませていく作業を、丁寧にやってきただけなんですよ。ただ真面目に、求められていることを肉付けしていく。そうすることで、今の自分が出来上がったとも言えますね。今、テレビによく出ている中堅芸人さんたちも、みんなそうかもしれない。求められていることをきちんとやることが大事なんだと思います」

後半では、大久保さんの40代から50代を著書『まるごとバナナが、食べきれない』と共に振り返ります。現在の仕事、恋愛、生活について、大久保さんが毎朝続けている、健やかに過ごすための“3点セット”とは。

大久保佳代子さんの年表

1971年 愛知県に生まれる
16歳(1986) 高校入学。光浦靖子さんと出会う
18歳(1989) 千葉大学文学部入学
21歳(1992) ネタ見せライブオーディションを経て、『オアシズ』としてプロダクション人力舎に所属する
22歳(1993) 千葉大学卒業
26歳(1997) 人材派遣会社のコールセンターに就職する
30歳(2000) 『めちゃ×2イケてるッ!』に出演(2018年3月まで放送)
39歳(2010) コールセンターの仕事を退職
44歳(2015) 『FNS27時間テレビ』で88kmマラソンを完走。愛犬パコ美を迎える
51歳(2022) 『まるごとバナナが、食べきれない』を出版

大久保佳代子さんが「恋愛」よりも「お笑い」「仕事」を優先した理由【私のウェルネスを探して 大久保佳代子さん 前編】_9

撮影/高村瑞穂 スタイリング/野田奈菜子 取材・文/武田由紀子

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