「他球団ならもっと活躍できる」は本当か
――阪神は注目度も高い球団で、その分、プレッシャーも並々ならぬものがあると思います。今季、佐藤輝明選手は打率264、ホームラン20本、84打点という成績でしたが、他球団にいたら、もっと結果が出ていると考えられますか?
「他球団だったらもっと試合に出られるのに」「もっと活躍できるはずなのに」と言われている選手は、プロ野球界にはたくさんいると思います。ただ、そうした選手が実際に他球団に移籍すると、思ったほど活躍できなかった……ということがたくさんあるのも事実です。
自分も阪神でプレーしている時は、「この球団特有の雰囲気やプレッシャーがなかったら……」と思ったこともありましたが、千葉ロッテに移籍したらしたで、環境が変わったためになかなか力が発揮できないという経験もしました。この経験から自分は「他球団だったらもっと活躍できたかもしれない」と考えることはなくなりましたね。
現状、佐藤選手が感じているプレッシャーが、どの程度かはわかりませんが、ホームランの数だけを考えると、本拠地が(左打者に不利とされる)甲子園球場でなければもっと増えると思います。5本から10本は増えるのではないでしょうか。
ただ、いいことばかりとは限りません。もしかするとホームランを狙って振りすぎることによってケガをするかもしれません。
ヤクルトの村上選手のように同世代の選手が活躍している姿を見ると焦ってしまうかもしれませんが、体の筋肉のバランスなども含めて、常に自分と向き合いながら、マイペースでやっていくことが大切。
佐藤選手は2年目で全試合に出場。ホームラン数こそ減りましたが、三振が減って打率や打点は上がるなど、プラス材料がかなりあるので、いい段階を踏めていると思いますけどね。
構成/飯田隆之