審査委員長として実感したジャッジの難しさ
『座王』に参加したことで、「街中でも、“『座王』見てるで”、と一般の方からよう言われますね」と、その影響力の大きさは肌で感じているという西田。250勝を超えたレジェンド級の活躍が評価され、プレイヤーとしていまだ現役でありながら、バトルをジャッジする審査委員長として出演する機会も増えてきた。そこで若手の能力に驚くこともあるそうだ。
「プレイヤーとして出るよりも、審査委員長の方が難しいですね。一応、自分の中には基準があって、笑いを取る手法が斬新だったりすればポイントは高いです。もちろん、自分が面白いと思った方が勝ち、というのは一番に考えていますけどね。
審査する立場で見ていても、『座王』に参加する若手の実力は上がってきているんじゃないかなと思いますよ。コンビだと、ツッコミやネタを書かない方って、普段は自分から何かを考えたり発想したりすることは少ないんですよ。でも、『座王』に出たらひとりでやらされるんでね」
“鬼”と呼ばれ、これまでは絶対王者として負けられないプレッシャーもあった、西田。だが最近は、いかにして勝つかに加えて、敗北をどのように笑いに転換するかも考えているという。
遡ること14年前、西田は2008年の『M-1グランプリ』で敗退が決定したとき、「思てたんと違う!」という名コメントを発して喝采を浴びた。あのときと同じように、爪痕の残し方は常に意識している。
「ずっと勝ち続けるなんて無理じゃないですか。その日の雰囲気っていうのがあって、何回か勝ち上がっていく間に“今日、ハマってるな~”という空気を作り出した人との対決は、どうしても分が悪くなる。例えば、ジョイマン・高木が流れを掴んでバーっと勢いがついたときなんか、こっちが何を言ってもアカンのですよ(笑)」