旧統一教会と山谷えり子議員の蜜月
そして大きな反動があったのが2004年。この前年は学習指導要領が一部、改訂が実施されたのである。
「ここで、教科書から性交という言葉が一斉に消えました。文科省の指導要領が統一教会系の言いなりに変えられてしまったことが背景にあります。それまでは中学校でも工夫して避妊の授業がされていましたが、できなくなりました。『セックス』という言葉や、性器の名称も使ってはいけなくなった。これでどうやって性について教えるんだ、と先生方も途方に暮れたわけです。
セックス、ペニス、ヴァギナなどの言葉が子どもたちを刺激しそそのかすと言うんです。学問は正しく言葉を使うことが原則です。しかし私が中学校に講演に行くと、『性交という言葉は使わないで下さい』『指導要領に沿って話をしてほしい』と保健の先生に言われたことがあります。
こんな風にいろいろと注文をつけられては、私としては残念ながらお断りするしかありません。性交という言葉を使わないで話すことはできませんから。
しかし、ある学校では保護者の方々がそれについて怒り、それなら学校の隣の公民館を借りるのでそこで話をして下さい、と言われたりもしました。保護者はきちんと学ばせたいのですのですね」
このあたりは、2017年に、道徳の教科書に記載されていた「パン屋」という記述が「和菓子屋」に書き換えさせられた事件から、自民党による政治の教育への介入を丹念に描いた映画『教育と愛国』の内容とシンクロする。
2005年に自民党は「過激な性教育・ジェンダーフリー教育実態調査プロジェクトチーム」を発足させる。座長は安倍晋三氏、事務局長は山谷えり子氏だった。旧統一教会の内部資料では、山谷氏を「ジェンダー・フリー問題」においてなくてはならない先生と称賛した上で、選挙の応援協力を要請している。
「統一教会は、あらゆるところに進出していました。広島市で6年間PTA協議会を務めた会長が統一教会系の人物であり、信者が役員に名前を連ねていました。当時のPTAの講演会は酷いものでした。統一教会の女性を呼んで、そこでも性教育に対する誹謗中傷をするんですね。
事実を捻じ曲げて伝えるものだから、保護者の方々も不安に感じるわけです。そんな中で、私個人に対する誹謗中傷も散々されました。このPTA会長は、『河野が中学生をそそのかして、セックスさせて、家庭を壊し、革命を狙っている』という記事を書いて拡散していたんですね。そうした酷い嘘が本当に許せなくて、名誉棄損で提訴しました」