あんずボー(25円・港常)

おっぱいアイス、アイスクリン、チューペット…懐かしの“駄菓子屋アイス”は今?_4

そのまま食べると「塩気のない梅干し」としか形容できない素朴なお菓子。しかし、凍らせることで日本らしい梅(っぽい)風味の冷菓に変わる。決して洒落たものではないが、私が生まれる前からほぼ変わっていないことを考えると、駄菓子の原型の一つと言っていいだろう。

チューペット(20円/本・メーカー不明)

おっぱいアイス、アイスクリン、チューペット…懐かしの“駄菓子屋アイス”は今?_5

これまた馴染み深い氷菓である。”チューペット”は最初に発売された際の商標だったが、現在は元祖がなくなってしまっており、代名詞的な呼称となっている。ダブルソーダのように中央のくびれを境にパキッと割って食べる、コミュニケーション機能のあるアイスだ。

子どもの頃から自分自身が親しんだチューペットだが、親になってからは娘のためにもストックしていた時期があった。気軽に涼を取れる、便利で有難いアイスだ。

おっぱいアイス、アイスクリン、チューペット…懐かしの“駄菓子屋アイス”は今?_6

あんずボーとチューペットは、どちらも最初から凍っているものではなく、凍らせて食べるという手間が必要だ。昔の駄菓子屋では、お客が未冷凍の商品を買って自分の名前を書き、店の冷凍庫に入れて凍らせるというルールもあったようだ。

大人になってやっとたどり着いた「シャービック」

懐かしアイスに思いを馳せながらの取材帰り。100円ショップで意外なものを見つけた。
「ハウス シャービック」だ。見つけた、と言ったが、ずっとそこにあったような気もする。今日まで全く目に入っていなかったのだ。

気づけばこれを買い物かごに入れていた。ついでに製氷皿も。実は私はこれまでシャービックを食べたことがない。駄菓子とは少し違う志向の冷菓であり、実家が駄菓子屋だったためか、そういうお菓子はあまり食べさせてもらえなかったのだ。

いつかあの、シャービックを食べてみたい。幼い夏、あんなに憧れていたのに、成長するごとにその思いは薄れ、いつしか忘れていた。不思議な巡り合わせだが、このコラムが思いを遂げる日を連れてきてくれた。