寺原隼人、今宮健太、菊池雄星、奥川恭伸。154キロを投げた男たち
最速155キロにはわずかに及ばなかったが、154キロを投げた球児も4人いる。そのひとりが、日南学園(宮崎)のエースとして2001年、第83回夏の甲子園に出場した寺原隼人(元・ソフトバンク。独立リーグ・福岡北九州フェニックスで現役復帰)だ。この大会で寺原は150キロ台のストレートを連発。154キロは当時の甲子園最速記録。また、メジャーリーグのスカウトが持ってきたスピードガンでは157キロと表示されたこともあった。
2009年、第85回夏の甲子園大会に登場したのが、明豊(大分)の今宮健太(現・ソフトバンク)。身長171センチの小さな体からは想像できない剛速球を投げ、甲子園で154キロを計測。いつしか「小さな巨人」と呼ばれるようになった。
今宮と同じ2009年、夏の甲子園大会に出場した花巻東(岩手)のエース菊池雄星(現・ブルージェイズ)は、初戦でいきなり153キロを投げてファンを沸かせると、岩手県の高校として41年ぶりのベスト8進出を決めた試合で、自己最速の154キロをマーク。これは今でも、左投げの投手では甲子園歴代最速記録だ。
記憶に新しいところでは、2019年大会の星稜(石川)、奥川恭伸(現・ヤクルト)。2回戦の立命館宇治(京都)戦、つぎの智弁和歌山(和歌山)戦と2度に渡って154キロを計測した。とくに智弁和歌山戦ではこれだけの豪球を投げつつ、延長14回タイブレークまでもつれた死闘で165球の完投勝利。6者連続を含む23三振を奪う見事な内容だった。
■岩手が生んだ高校生160キロ 大谷翔平(花巻東)&佐々木朗希(大船渡)
甲子園球場ではないが、高校野球史上最速のボールを投げた選手は他にいる。菊池雄星と同じ花巻東のエースとして活躍した大谷翔平(現・エンゼルス)だ。2012年夏、岩手大会の準決勝、一関学院戦において高校生史上初となる球速160キロを計測。一躍、メジャーリーグからも注目される存在となった。
そして、「令和の怪物」佐々木朗希(現・ロッテ)は大船渡高校(岩手)時代、高校日本代表合宿で163キロを計測。公式戦でも、2019年夏の岩手大会4回戦・盛岡四戦で160キロをマーク。岩手から二人目の「160キロ球児」が誕生したのだ。
今年の夏の甲子園でも、別所孝亮や前田悠伍(ともに大阪桐蔭)、山田陽翔(近江)らが150キロに迫る投手として注目されている。声援を受け、自己最速を叩き出してしまうのも甲子園という夢舞台。3年ぶりの有観客となる大会で、彼らがどんな豪球を見せてくれるのか、大いに期待したい。