日本人と韓国人が一緒になって飲む「レトロポチャ」

「子供の頃の思い出のグッズや、懐かしさを感じるものを集めて、飾っているんです」

と語るのは、「レトロポチャ」の店長イ・ギュファンさん(34)。どこか郷愁を感じるポスターや看板、チラシが店内に貼られ、ラジカセや黒電話、昔のおもちゃなども並ぶ。日本人も韓国人も「レトロ」と感じるこの雰囲気が評判 となって、2021年2月にオープンしてから人気の「ポチャ」(韓国式の居酒屋)だ。

タコ鍋にレトロポチャ。変わる新大久保の韓流飲食店_6
1988年、ソウルオリンピックの年に生まれたイさん。彼が懐かしさを覚えるグッズが店内を飾る

秘伝のカニ出汁をやかんにいれて煮込んだ韓国おでんや、キムチ・ピザ・タンスユク(酢豚)を合わせた「キムピタン」など、お酒に合う居酒屋メニューがいろいろ。

「新大久保にはこういうポチャがなかったし、普通の焼肉屋とはちょっと違う店をやってみたかった」

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辛いおでん(左、1500円)は出汁を飲んでもうまい。チャミスル、マッコリともよく合う。キムピタン(下、1500円)もおすすめ

イさんがやはり留学生として日本に来たのは、11年ほど前だ。

「その頃の新大久保はアイドルのファンが多かったけど、いまはもっと幅広く、韓国のいろいろな文化を楽しみたいってお客さんが増えたように思います」

グルメも同様だ。焼肉やチーズドッグだけでなく、海鮮やポチャなどさまざまな店が新大久保には次々と出てきている。そして、

「うちのお客さんは、日本人と韓国人が半々であってほしいんです」

とも話す。あちこちに置かれたレトロなグッズを手に、隣同士のテーブルの日本人と韓国人が一緒に飲むなんてこともよくあるそうだ。

「店には6つのテーブルがあるんですが、その全部が仲良くなって、年齢も国も関係なく『じゃあ次はみんなでカラオケ行こう!』なんて盛り上がったこともありました。そういうのを見ているのは楽しいですね」

こんな交流の場所となっている店も、新大久保には増えている。

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「レトロポチャ」新宿区大久保1-16-5 12~24時、無休
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取材・文/室橋裕和 撮影/泉田真人