へずまりゅうさんはとても良い人だった 

――昼と夜の運転では、どちらが大変ですか。

中島 僕の場合は、昼の方がより気を使います。ビジネスマンの方は、タクシーの中でも、パソコンを操作したり、ケータイで商談を進めたりされたりされるので、急ブレーキなどでその邪魔をしちゃいけないと思っているので。

岡本 私は、どちらかというと、夜です。酔った方が多くなりますし、…一応、女の子なので(笑)。あとは、単純に、夜の運転の方が昼にハンドルを握るより事故のリスクが高くなるので、些細なことにも気を配るようにしています。

――もしかして、著名人を乗せることも…ある?

岡本 私は一人だけで…TV局の某有名アナウンサーさんです。道も教えてくださいましたし、ものすごくいい方でした。

中島 僕は、MCとしてすごく有名なお笑い芸人の方と、もうひとり…。

――どなたですか?

中島 YouTuberのへずまりゅうさんです。それも2回! すごく紳士的な方で、とってもいい人でした(笑)。

――それもある意味すごいですね。ではタクシー業界全体に対して、ここを変えて欲しいというところがあったら教えてください。

中島 休憩場所をもっと増やして欲しいですね。今、設定されているのは、青山墓地と六本木の高架下、その2箇所しかなく、あとは自分で何とかするしかないので、それは増やして欲しいなと。

岡本 タクシー業界は、まだまだ女性の方が少ないので、もっと多くなって欲しいなと思います。ウチの会社でも、女性の管理職はゼロで。そういう方がいたら、相談事とかも気軽にできるようになりますし、よりいい環境で仕事ができるようになると思います。

――会社を辞めるまでドライバーを続ける?

中島 いや、それは考えていないです。ずっと乗務員を続けていくんじゃなくて、将来的には会社の経営であったり、本社で、会社全体を盛り上げていけるような部署で働きたいと思っています。

岡本 私は目指せ、女性の管理職!ですね。観光の部署に行ってみたいというのもありますが、最終的には、女性が働きやすい環境づくりをしたいと思っています。

――最後にひとつ、運転中に溜まったストレスをどうしているのか。その解消法があったらぜひ、教えてください。

中島 僕は運動が好きなので、休みの日に体を動かしたり、美味しいものの食べ歩きをしています。

岡本 私は休みの日に、同期と買い物に行ったりドライブに行ったりですね。

――休みの日も、運転する?

岡本 はい。運転は好きだし、同期とのドライブだったら、疲れたらすぐに交代してもらえるじゃないですか。みんな、運転のプロなので、自分でハンドルを握っていないときでも、安心して乗っていられますから(笑)。

「最初は家族にもいえなかった…」若手女性(タクシー)ドライバーのやりがいと葛藤_3
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取材・文/工藤晋 撮影/神田豊秀