「この個室、めっちゃ便利」―Instagramへの投稿が苦境を乗り越える原動力に

――とはいえ、ものづくりへの進出に戸惑いはありませんでしたか。多額の初期投資が必要ですし、在庫も抱えなくてはいけません。ITビジネスとは勝手が異なるように思いますが。

今、振り返ると…どうかしていますよね(笑)。当時の自分に声をかけられるなら「いったん落ち着け!」と言います。

ただ私は本質的解決を求める性格なのか、課題が解決できるなら手段は何でもいい。「ソフトで解決できないなら、ハードを作ればいいじゃない」というのが、当時の心境でした。

最初にmamaroの最初の設計図を描いたのは僕だったのですが…苦戦しましたね。図面を引いたことがなかったので、工務店や町工場の方に「こんな絵で作れるか!」と叱られました(笑)。

でもそこから試作を重ねて、ユーザーや商業施設の意見も取り入れていくうちに「いいね」「ウチに置いてもいいよ」とポジティブな反応が返ってくるように。「作る価値がある製品だな」と自分で確信できたのはその頃です。結果的に、着想から一年足らずで販売にたどり着けました。

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mamaro利用の様子

――販売当初も苦戦していたと伺っていますが、何が原動力になっていましたか。

まだ設置台数が十数台の時期に、Instagramにmamaroの写真が投稿され始めたんです。当時はまだ広告出稿していなかったので驚きました。ユーザー自身からmamaroについて投稿されるということは、SNSでシェアしたくなるような体験を提供できているんだなと。

mamaroのような個室授乳室はかなり珍しいので、安全性への懸念もあり施設側に受け入れてもらえず、資金が底を尽きかけることもありました。そんな時期に見た「この個室、とても便利でした!」という投稿は、非常に心強かったですね。