2位はテクノの二大巨頭による競演
第3位:VISION6周年アニバーサリーイベント(2017年)
VISIONの6周年を祝うアニバーサリーを2日間にわたって開催したイベントが第3位にランクイン。乗田氏はDAY1のイベント「trackmaker」をピックアップした。
「アーティストのリミックスやサウンドプロデュースなどマルチに活動するtofubeatsと、ヒップホップクルー『KANDYTOWN』のメンバーであるラッパーのYOUNG JUJU(現在は改名してKEIJU)をブッキングしたんです。知っている人からしたら、『この組み合わせはもしかして……?』と伏線を張るような仕掛けをしました。
2017年にtofubeatsがfeat.YOUNG JUJUでシーンを席巻した名曲『LONELY NIGHTS』のライブでの披露を期待するお客様がたくさん来場し、今か今かと待ちわびるような期待感に満ちた空間の醸成を意識しました。
『LONELY NIGHTS』のイントロが鳴り始めた瞬間の盛り上がりは、狙い通りでしたね。日頃からスタッフとともにイベントの企画やブッキングを考えますが、『アーティストの組み合わせで、イベントでやりたいコトをお客様に想像させる』ことができた成功事例として、今でも印象に残っています」(乗田氏)
第2位:VISIONオープン初年度のカウントダウンイベント(2011年)
先述したようにVISIONの立ち上げ初年度は、渋谷の客層のニーズが掴めず、集客に苦戦を強いられた時期だった。こうした状況を打破するべく、渾身のブッキングで迎えたのがカウンドダウンイベントだったという。
「VISIONの前身となる代官山AIRでもゲストで招いていたデトロイトのレジェンドDJと呼ばれるDerrick May(デリック・メイ)に、デトロイトテクノのパイオニアとして知られるJeff Mills(ジェフ・ミルズ)を加えて、豪華なブッキングを実現させたんです。当時、日本ではどちらかが来日することはありましたが、同時に二人がDJプレイする機会はなかったんですよ。
その日、私はバーカウンターで働いていたんですが、あまりの忙しさにカウントダウンにも気づかずに夜の0時を超えて、いつの間にか新年を迎えていました。ゲストDJのデリック・メイとジェフ・ミルズはそれぞれ、メインフロアの「GAIA」とセカンドフロアの「DEEP SPACE」を交互でDJプレイを披露してもらったんですが、来場客のボルテージは終始上がりっぱなしでした。
このイベントで、ブッキングの重要性をあらためて学びましたし、オープン当初の集客に苦戦していた時期の会心のイベントとして心に残っています」(乗田氏)