ちなみに視力0.01の世界がどんなものかというと、朝起きてフックにかけてあるダンナのブルゾンに向かって「今朝はパンとごはん、どっちにする?」と話しかけるくらいにはぼんやりとした世界である。
さらにちなみに、この話を人にすると「いやまさかそんな」「盛るね~」などど言われますが、こんなん作ろうと思っても作れないネタだし、ブルゾンに朝食のセレクトを尋ねる私の背後から「そんなに悪かったのか……」とダンナがのたまい、予期せぬところからの話しかけに飛び上がって驚いたのもまた事実である。
心眼でくじを引く思い
話がそれすぎです。
そんなうすぼんやりした状態のまま、助手席に乗り込み、いざ抽選会場へ。
だがしかし、めちゃくちゃ道が混んでる! ザッツ渋滞!
会場前に着いたらすでに抽選時間の5分前。まずい、このままでは戦う前から失格だ。
「おれは駐車場に車回して後からいくから、とにかくここで降りて先に会場に入って、到着してることをアピールするんだ!」
わかった! 前がぼやけててよくわからないけどわかった!
ひとりビルの中に入り「〇〇タワーマンション抽選会会場」の文字が読めないので人に聞きまくり、ギリギリで会場に辿り着いたらすぐに担当の人が、
「志沢さま! お待ちしておりました! さっ、早く列に並んでくじをひいてください!」
えっ、ちょっと待って、えっアタシ? アタシがひくの? 心の準備が! あとなんか急いでて全然周りが見えてないし! いろんな意味で!
心の声もむなしく、くじ引きの列に有無を言わさず並ばされた。ダンナは……まだ来ない。
で、くじ、ひいた。
(うわーこの長い列の人たち、みんな申し込んでるんだ、終わったな)
で、結論。ひいたくじを開くと大きく「2」と書いてありました。
これは全体の中で2番ということでした。つまり当選者の中で2番目に好きな場所を選ぶ権利があるということです。おそらく200人くらい応募者はいたはず。200人の2番目。なかなかだ。
一言で駐車場といっても、エレベーターに近い場所、機械式駐車場の上下段などピンキリなわけで、2番はもう間違いなくピンの場所を選び放題。
思えばこの日から自分のくじ運のよさというものを意識し始めたのかもしれません。