「呼び捨ては当然、日本を下に置いているとアピールする狙いです」

そうした中、9月24日(米東部時間)にワシントンで行なわれた米中首脳会談が契機になったと指摘するのが、日中青年交流協会理事長として長年日中交流事業に携わった鈴木英司氏だ。

2016年に中国でスパイ容疑で拘束され、その後スパイ罪で懲役6年の実刑判決を受け、2022年まで約6年間拘束された経験を持つ鈴木氏は、対米関係をグリップしていると自信を深めた中国が、日本を軽視するとわざわざ表明したものだと話す。

25年10月、習主席と会談を行なった高市総理(首相官邸公式Xより)
25年10月、習主席と会談を行なった高市総理(首相官邸公式Xより)

「呼び捨ては当然、日本を下に置いているとアピールする狙いです。中国は、2015年に日本が集団的自衛権を限定容認する平和安全法制を整えたころから、たびたび『日本は米国に付き従うだけなので、米国を動かせば日本もついてくる』と考えていることをうかがわせる言動を見せるようになりました。

今回はその延長です。9月の習近平国家主席とトランプ米大統領の会談で、第二次世界大戦中に米中が“同盟国”だったとトランプ氏が口にしたことに手ごたえを得て、対日関係を対米外交の従属物として扱う態度を強めてきたのでしょう」(鈴木氏)

前述の通り、中国は同時期に岩屋前外相の訪問を受け入れ、王毅・共産党政治局員兼外相や、何⽴峰副⾸相ら政権幹部が会談に応じている。“硬軟両様”のメッセージが出たのはどういうことか。

(PhotoAC)
(PhotoAC)

「岩屋さんは経済団体トップの肩書も持っての訪問で、経済交流の縮小策を転換する糸口を中国側が探している可能性はあります。しかし習主席の高市首相への態度が変わったとみるのは難しい。『経済関係は動いてもいいし、日本が譲歩しないなら動かなくてもいい』程度の考えでしょう。

習主席が4期目の続投を図るとみられる共産党大会を来年後半に控え、人事で誰もが生き残りを目指す“政治の季節”に入ります。これからは、リスクがある対日関係改善を図る動きは、王毅さんを含め出なくなっていくでしょう」(鈴木氏)