“買う側”への規制強化に歌舞伎町の男たちは…

「待ち合わせ中なので、答えることはできないです」

新宿・歌舞伎町の大久保公園周辺にあるラブホテル街。ホテル前に立つスーツ姿の中年男性に声をかけると、うつむいたまま顔を上げることなく、取材を拒んだ。

大久保公園周辺では、2023年以降、売春目的で客待ちをする“立ちんぼ”の女性が目立つようになり、警視庁が取り締まりを強化。現在の売春防止法では、売春そのものではなく、売春目的で公衆の目に触れる方法で客待ちをする行為などが処罰の対象とされている。

そのため、警察官に声をかけられた女性が待ち合わせを装い、場所を移しながら客待ちを続ける光景も珍しくない。

そうしたなか、今年9月、法務省の有識者検討会が、売買春をめぐる規制の見直しについて報告書を取りまとめた。これまで処罰規定のなかった“買う側”についても、勧誘行為等に新たな罰則を設けるよう求めるというものだ。

客待ち行為を禁止を呼びかけるポスター(撮影/集英社オンライン)
客待ち行為を禁止を呼びかけるポスター(撮影/集英社オンライン)
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大久保公園周辺で“立ちんぼ”を探す男性たちは、今回の動きをどう受け止めているのか。記者が、約1カ月半ぶりにラブホテル街を歩くと、行き交う通行人たちに紛れて周囲をうかがう男性の姿が点在した。

冒頭の男性が口にした「待ち合わせ中」という言葉は、奇しくも、“立ちんぼ”が取り締まりをかわす際にも使われる言葉だ。

別の男性は、当初こそ取材に応じていたものの、売春防止法の見直しについて話を向けると、途端に態度を変えた。

「変なことに巻き込まないでください」

そう言い残すと、その場から足早に離れていった。

一方、国内では大きく報じられている売春防止法の見直しを、歌舞伎町を訪れる外国人男性は知っているのか。ラブホテルの壁にもたれ、酒を飲んでいた外国人男性2人組に声をかけた。

トルコ国籍で日本語はまったく話せないというが、歌舞伎町には頻繁に来ているという。ここで何をしているのか尋ねると、男性の一人は目を合わせないまま、こう聞き返した。

「How much?」

記者だと告げると、今度は翻訳機を使い、トルコ語で「何の取引をするつもり?」と尋ねてきた。

売春防止法の見直しについて伝えると、2人は気まずそうに言葉を詰まらせたあと、顔を見合わせて「OK」とうなずき、「自分たちは何も買っていない」と説明した。

閑散とする大久保公園周辺(撮影/集英社オンライン)
閑散とする大久保公園周辺(撮影/集英社オンライン)

さらに、ホテル街を歩くと、自転車に乗ったネパール人男性から突然、「ホテル行こう」と日本語で声をかけられる場面もあった。在日10年以上で、日本語は得意だという。

再び記者だと名乗り、取材中だと説明したが、男性は笑いながら「ホテルは行かないの?」と繰り返す。「普段も女性とホテルに行くのか」と尋ねると、「ホテルに行きたいときは行く」と答えた。

そこで、売春防止法の見直しが検討されていることを伝えると、男性の反応が変わった。

「捕まるの? それは知らなかった。僕は仕事が終わったら家に帰るから、お金を払って女の子とホテルに行くとか、そういうことをしたこともないです。お金も持ってないので、ホテルは彼女としか行かないです」