スタンダードソングができるまで
川瀬からの依頼に応えて楽曲を提供した井上陽水は、制作中だった自身のアルバム『EVERY NIGHT』のために、自分でもバラード・ヴァージョンをレコーディングしていたという。しかし、萩田のアレンジによるテープを聴いて、そのイメージが気に入ったことから、もう一度レコーディングすることにした。
こうしてセルフ・カヴァーによる「クレイジーラブ」は、山口百恵のアルバムからおよそ1ヶ月後の11月21日にリリースされた。
それから四半世紀が過ぎた2006年に公開された映画『かもめ食堂』のエンディング・テーマに、そのヴァージョンが使われることになった。そして映画がヒットしたことによって、井上陽水の歌った「クレイジーラブ」は新たなファンにまで届いたのだった。
このように楽曲へのアプローチや歌い方などが互いに影響しあうことで、歌や音楽は新たな魅力を引き出される。また、長い年月を経てから映画やテレビに使われることによって、新しい世代のリスナーに伝わるということが起こったりもする。
気に入って応援してくれるリスナーがいる限り、ポップスは生き続けることができる。そうしたことの繰り返しによって、後世に歌い継がれるスタンダード曲が育っていく。
文/TAP the POP、佐藤剛














