スタンダードソングができるまで

川瀬からの依頼に応えて楽曲を提供した井上陽水は、制作中だった自身のアルバム『EVERY NIGHT』のために、自分でもバラード・ヴァージョンをレコーディングしていたという。しかし、萩田のアレンジによるテープを聴いて、そのイメージが気に入ったことから、もう一度レコーディングすることにした。

こうしてセルフ・カヴァーによる「クレイジーラブ」は、山口百恵のアルバムからおよそ1ヶ月後の11月21日にリリースされた。

それから四半世紀が過ぎた2006年に公開された映画『かもめ食堂』のエンディング・テーマに、そのヴァージョンが使われることになった。そして映画がヒットしたことによって、井上陽水の歌った「クレイジーラブ」は新たなファンにまで届いたのだった。

2006年3月11日に劇場公開された映画『かもめ食堂』。写真はDVDのジャケット。日本人の女性サチエがフィンランドの首都、ヘルシンキのプナヴオリで日本食の食堂「かもめ食堂」をオープンさせるもあまり客が来ない。そんな折にミドリに出会って…。エンディングには井上陽水版の「クレイジー・ラブ」が使用されている。
2006年3月11日に劇場公開された映画『かもめ食堂』。写真はDVDのジャケット。日本人の女性サチエがフィンランドの首都、ヘルシンキのプナヴオリで日本食の食堂「かもめ食堂」をオープンさせるもあまり客が来ない。そんな折にミドリに出会って…。エンディングには井上陽水版の「クレイジー・ラブ」が使用されている。
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このように楽曲へのアプローチや歌い方などが互いに影響しあうことで、歌や音楽は新たな魅力を引き出される。また、長い年月を経てから映画やテレビに使われることによって、新しい世代のリスナーに伝わるということが起こったりもする。

気に入って応援してくれるリスナーがいる限り、ポップスは生き続けることができる。そうしたことの繰り返しによって、後世に歌い継がれるスタンダード曲が育っていく。

文/TAP the POP、佐藤剛