パワハラ、セクハラのほかにカスハラの被害も……
UAゼンセン調査では、アルバイトをする理由についても順位をつけて3つ以内の選択方式でたずねています。彼らが第1位として選んだのは「趣味や交際費」(57.1%)で、2位の「生活費」(22.6%)を大きく引き離しています。これだけを見ると特に年配の方などは、「今の学生もやはり遊ぶためにアルバイトをしているのではないか」と思われるかも知れません。
しかし、ここでの「趣味や交際費」には自分の趣味だけではなく、大学のサークル活動やゼミ活動の費用、通信費なども含まれることが、「友人を作る・コミュニティを広げる」など他の選択肢から予想されます。さらに3つ以内で選ばれた理由のうち、「生活費」が52.8%と5割を超します。学生がアルバイトをする目的は、広い意味で「学生生活を続けるのに必要なお金」を含んでいると捉えるのが妥当でしょう。
もう一つ重要な問題として、学生生活を続けるためにこれまで以上のアルバイトを強いられている大学生が、職場でハラスメントを受けていることがあります。同調査によると、セクシュアル・ハラスメント(セクハラ)を「受けたことがある」との回答は3.8%で、これに「受けたことはないが見聞きした」(12.3%)を合わせた「受けた+見聞きした」は16.1%となります。また「受けたことがある」の回答のうち、女性の割合は5.7%に達します。
パワー・ハラスメント(パワハラ)を「受けたことがある」が6.2%、これに「受けたことはないが見聞きした」(14.1%)を合わせた「受けた+見聞きした」は20.3%と2割を上回ります。
カスタマー・ハラスメント(カスハラ)を「受けたことがある」は17.3%で、セクハラやパワハラを大きく上回ります。これに「受けたことはないが見聞きした」(17.5%)を合わせると、「受けた+見聞きした」は34.8%と、全体の3分の1を上回ります。
◇◇◇
セクハラ、パワハラ、カスハラはいずれも職場で引き起こされる深刻な人権侵害です。同調査ではそうしたハラスメントのいずれかを「受けたことがある」と回答した層を対象に、ハラスメントの経験による影響を複数選択で質問しています。「特に影響はなかった」という回答が30.9%であることから、7割近くの学生が、ハラスメントを受けたことによる影響があったと回答していることになります。具体的には「仕事へのモチベーションが下がった」が53.6%、「アルバイトに行きたくなくなった」が36.6%となりました。
ハラスメントを受けた後の行動としては、「アルバイト先の同僚に相談」が30.7%、「アルバイト先の正社員などに相談」が26.8%、「家族に相談した」が23.7%、「アルバイト先以外の友人に相談」が22.4%と、職場の仲間や家族・友人などへの相談が中心で、「アルバイト先の労働組合に相談」(0.2%)、「アルバイト先の相談窓口に相談」(0.9%)などは、極めて少数となっています。
ちなみに、「特になにもしなかった」が31.2%にも達しているのは、とても深刻な問題です。この調査に協力された埼玉大学の金井郁教授は、「労働組合は、労働組合の役割や機能、ひいては意義について、学生アルバイトの認知を職場で高めていく必要がある」と、労働組合としての課題を的確に指摘されています。
◇◇◇
こうした学生の状況に対して、労働組合だけでなく、大学を含む教育機関も何らかの対策をすべきだと思います。読者の皆さんの中には、「アルバイト先で起きているトラブルは、大学の外で起きていることなのだから、大学は対策をする必要がない」と考える人もいるでしょう。あるいは、「アルバイト先で何か問題が起こるたびに大学が対策を強いられたら、学校側がやらなければならないことが増え過ぎてしまう。教育機関が何でもかんでも対応して抱え込む傾向こそ問題だ」と思う人もいるかも知れません。














