「A子ちゃんは介護が“つらい”という話は一切しなかったんだよ」
これに深野裁判長は判決で「被害者の介護を継続する手段は他にあったことは否定できないが、被告人なりに被害者のために善処しようとしたものであり、被告人に対する非難は強いものとならない」と述べ、A子被告はできる努力を尽くしていたと指摘した。
事件の朝、A子被告が泣きながら電話をかけたCさんによると、A子被告は時々、息抜きのようにCさん宅に来て他愛もない話をしていたという。そのCさんは、
「A子ちゃんは介護が“つらい”という話は一切しなかったんだよ。馬鹿話ばかりで。市役所に相談していたかどうかも分からないけど、ただ『あてになんない』とは言っていたな。自分でやるしかなかったんじゃないかなと思う。30年近くも面倒みてて、なんでこうなっちゃったんだろうな…」
と残念がった。そして、A子被告にはもう一人話す相手がいたが、追い詰められた心情を打ち明けなかったとみられる。
「A子ちゃんは月に1回かな。B子ちゃんの父親に当たる元の旦那さんが日曜日に家に来て、3人でお昼ご飯を食べに出かけていたんだよね。後部座席に車いすを機械で乗せられる軽自動車にB子ちゃんを乗せて。
事件があった日(3月8日)は日曜日で、ちょうどそのお昼ご飯を一緒に食べる日だったんだ。A子ちゃんは、元の旦那さんが(亡くなっている)自分とB子ちゃんを見つけるようにあの日を選んだんだと思う」(Cさん)
検察官の起訴状にも判決文にも、A子被告は衣装ケースに張った「水」にB子さんの顔を沈めた、と書かれている。だが、関係者によれば本当は暖かい湯だったという。B子さんが冷たい思いをしないように、と考えたのだという。
判決理由の言い渡しの後、深野裁判長から「無罪ではありません」と執行猶予の意味を念押しされたA子被告は、閉廷した後も席から立たず、弁護人席の机の上で組んだ指先をじっと見続けていた。
取材・文/集英社オンライン編集部ニュース班













