「やった・やっていない」だけで終わらせないために

子ども同士のトラブルで対応を難しくするのが、双方の言い分が食い違う場合だ。

一方は「やられた」と話し、もう一方は「やっていない」「覚えていない」「そんなつもりではなかった」と話す。

井梅氏は、まず、「被害者と加害者、それぞれに聞き取りを行うことが望ましいと考えます」とする。そのうえで重要なのは、行為者側の意図の有無とは切り離して、許容されない言動そのものについて伝えることだという。

「『そんなつもりではなかった』としても、今回挙げられている暴言の『死ね』『殺すぞ』や身体への攻撃は、許されることではないことを、早い段階でしっかりと伝えることが重要と考えます」

※写真はイメージです
※写真はイメージです

さらに、事実確認は時間がたつほど難しくなる。数か月前の出来事を後から聞き取れば、記憶の食い違いは起きやすくなる。

だからこそ、最初の相談があった時点で、個別の聞き取りだけでなく、チーム全体として方針を示すことが重要だと話す。

「はじめに相談があった時点で、このことをチーム全体に共有し、『今後、そのようなことは絶対に許さない』という風土をチーム全体で作っていたら、『やった・やっていない』ではなく、大人が注意を行った時点からはお互いが気をつけることができたかと思います」

今回のケースでは、チーム側から「同じことがまた起きたら所属グループを下げる、もしくは辞めてもらう」といった趣旨の注意・指導もあったという。

「この時点では強い言葉で注意をしていても、それが継続して子どもたちに伝わっていなかったために、形骸化してしまったと思われます」

問題が起きたときだけ強く注意するのではなく、その後もルールや価値観を繰り返し共有する必要があるということだ。

「そのためにも、一人のコーチが対応するのではなく、チーム全体で問題意識を共有し、子どもたちの様子に目を配ることが重要です」

では、相談した子どもが問題解決を待つうちに疲弊し、結果としてチームを離れるような事態を防ぐには、どんな仕組みが必要なのか。