「悪意がなかった」としても、優先すべきは被害を訴えた子どものケア

井梅氏は、まず学校現場におけるいじめへの考え方を示す。

「文部科学省の定義にも示されていますが、いじめがあった場合、加害者にそのつもりがなかったとしても、相手が心身の苦痛を感じていればいじめに該当します。学校現場では、基本的にこのような考え方で対応することが広く浸透しており、教員個人で抱え込まず、組織として対応することが求められます」

つまり、「冗談だった」「悪気はなかった」「友達だから言った」といった行為者側の意図だけで判断するのではなく、その行為を受けた子どもがどう感じたのかを重視する必要があるという。

そのうえで、特に重要だとするのが、対応の速さと被害を訴えた子どものケアだ。

「いじめに該当すると思われる事案が発生したときには、すみやかに対応することが重要であり、被害者のケアが、まず最初に行なうべきことです」

今回起きた経緯では、保護者側から最初の相談があったのは小学5年生の夏。その後、対象となった子どもへの聞き取りが行われたのは小学6年生になる頃だったという。井梅氏は、この時間差を重く見る。

「初めに相談をされてから、対象児童への聞き取りが行なるまでに、ずいぶんと対応に時間がかかっていると思われます。本人から相談があった時点で、すぐにチームとして対応に動いていたら、その後の暴言や、身体的な出来事は起こらずに済んだかもしれません」

もちろん、早期対応によってその後の出来事をすべて防げたと断定することはできない。

ただ、最初の訴えの段階で大人が明確に介入し、「このチームではそうした行為を許さない」と示すことには意味があると指摘する。

※写真はイメージです
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「はじめに相談があった時点で、大人が『チームとしてそのような行為は許さない』という毅然とした態度を示すこと、その後、子どもたちの様子を注意して見ていることがチームの大人としてできることと考えます」

一度注意して終わりではなく、その後も子ども同士の関係や様子を継続して見守ることが求められる。