「全国を目指したい」約5年半過ごしたチームを退団

少年は小学1年生の後半から約5年半にわたり、同じクラブでサッカーを続けてきた。

保護者はこう振り返る。

「今回の出来事が起きたのは、県内でも全国大会への出場経験があるなど、競技志向の強い街クラブでした。息子自身も、そこで長くサッカーを続け、チームの一員として全国を目指したいという思いを持っていました」

※写真はイメージです
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少年にとって、そのクラブは単なる習い事の場ではなかった。日々の練習や試合を重ね、仲間とともに上を目指す場所だったという。

しかし小学5年生のころから、少年は同じチームの選手から「死ね」「殺すぞ」などの言葉を受けたと家族に訴えるようになった。

保護者はチーム側へ複数回相談。その後も少年本人の記憶や申告では、侮辱的な発言や身体的に嫌だと感じる出来事があったという。

一方、チーム側も対象となった子どもたちへの聞き取りや、注意・指導を行っている。ただ、行為を指摘された側には「そのようなことをした認識はない」「友達だと思っていた」との認識があり、双方の言い分は一致しなかった。

子ども同士のトラブルでは、一方が「嫌だった」「怖かった」と感じても、もう一方は同じ出来事をまったく違うものとして受け止めていることがある。

だからこそ難しいのが、事実確認をどう進め、どの段階で大人が介入するかという問題だ。少年はその後もチームでプレーを続けたが、家族で話し合った末、今夏に退団した。長く所属し、全国を目指したいと思っていた場所を離れるという選択だった。

では、子どもから「嫌だった」「怖かった」と訴えがあったとき、大人は何を最優先すべきなのか。

東京未来大学こども心理学部の井梅由美子氏に聞いた。