「自分の見ている世界が“絶対”ではない」哲学と動物を結びつけた理由

ドリアン助川さん
ドリアン助川さん
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――2023年に『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』を出版し、このたびシリーズ第2弾の『動物哲学物語 ナイス実存』(以下『ナイス実存』)を上梓されました。さまざまな動物を主人公に、哲学的なテーマをやさしく、しかし深く掘り下げた〈動物×哲学〉の物語を執筆されたきっかけや動機について、あらためて教えてください。

ドリアン助川 単純に動物と哲学が好きだったから……なんですけれども、具体的に構想が生まれたのは10年ほど前のことになります。

もっとも子どもの頃から動物好きで、当時から彼らを主人公にした短い物語を趣味で書いたりもしていました。そういう意味では50年以上、心のなかで温め続けてきた作品といえるかもしれません。

話題となった前作『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』から約3年、ドリアン助川が送る動物×哲学の物語シリーズ第2作。揺れ動く今この世界で〈生きる〉とは何か? 動物たちの言葉が私たちを解き放つ。
話題となった前作『動物哲学物語 確かなリスの不確かさ』から約3年、ドリアン助川が送る動物×哲学の物語シリーズ第2作。揺れ動く今この世界で〈生きる〉とは何か? 動物たちの言葉が私たちを解き放つ。

――ドリアンさんは、大学で哲学を学ばれていたそうですが、そうした経験も本書に影響を与えているのでしょうか。

ドリアン助川 そう思います。僕は高校生の頃、唯一の得意科目が「倫理・社会」だったんです。この呼び名はもうなくて、今は「倫理」と呼ばれているようですが。要するに、アイデンティティの確立や社会の認識など、青年期に直面するであろうさまざまな課題を通して、哲学や思想を学ぼうという授業ですね。

哲学とは、さまざまなものの見方や考え方を学ぶためのものであり、自分の見ている世界が‟絶対”ではない、ということを知るための学問です。人間は、多視点かつ多様性を持つ生き物であり、それは動物とても同様です。

たとえば、昼行性なのか夜行性なのかによって、彼らの世界の見え方はがらりと変わってくる。そして、だからこそ、この世は複雑でおもしろいものになっていると思うんです。そうした世界の豊かさを肯定したいという気持ちが、この本の根っこにはあるように思います。