「これからもライブを続けてほしい」と願う息子
本番当日、息子はプロンプターの操作だけでなく、大人顔負けの機転で現場を走り回った。
「物販でチェキ券を巡り現場が迷った時があって。でも、その時もすぐに楽屋のshelaのもとへ走って行って相談し、『ママが2枚売っていいって!』と結論を持って帰ってきたんです。私たちが迷っていることを感じ取ってすぐに行動するその姿に『本当に中学生?』と思うほど。
普段から二人三脚で頑張ってきたんだね。そういう親子の関係性を垣間見たような時間でした。shelaには息子くんがいてくれて、心強いねってみんなで話していました」
息子にとって、何百人ものファンに囲まれて歌う母親の姿は、生まれて初めて目にする衝撃的な光景だったそうだ。
北海道の自宅で家事に追われ、時にはケンカもする「ごく普通の母親」が、ステージに立ってファンからの声援を浴びた瞬間、歌手としてのスイッチがカチリと切り替わる。
「ステージに立ったお母さんは全然違っていた。本当にすごくて、かっこいいと思った」
照れくさそうに取材に応える息子は誇らしげに続ける。
「これからもライブを続けてほしい。自分にできることは協力するし、これからも何でも全部やってあげたいと思った。僕にできることはなんでも」
多くの障害を乗り越え、スタッフとファンの愛情に包まれて無事終えた名古屋公演。shelaは今、深い感謝の想いを抱えながら、再び前を向いて歩み始めている。
「不都合なことが起きるとさっと去ってしまう人が多い世の中で、こうして寄り添い続けてくれた友人や息子に、私は歌でしか返すことができない。
私に起きたアクシデントをみんなが乗り越えさせてくれた。私はまた一つ、違う自分へと成長することができたと思っています。こうやって支えてくれる人がいるって心からありがたいことだと改めて思いました」
友の手を借り、息子に背中を押され、彼女はまたマイクを握った。大きなトラブルに見舞われ、開催すら危ぶまれた記念ライブ。しかし、shelaにとってこの名古屋公演は、奇跡といえる瞬間だった。かつて自身が代表曲『Dear my friends』に託した「いつでも私は君の味方だから」という約束が、今度は「いつでもお母さんの味方でいたい」と願う最愛の息子や友人たちからの愛となって還ってきたのだから。
取材・文/佐々木一城
(写真/本人提供)












