現役世代の多くがダメージを受ける状況
既にローンの返済を終えた高齢世帯や富裕層を除き、現役世代の多くがダメージを受ける状況だ。
円安や財政懸念を通じ、高市政権の政策運営が追加利上げ観測を強める一因になっているとの見方もある。
「元から期待していなかったが、ここまで無能だとは思っていなかった」
都内の大手シンクタンクで働くB氏はこうため息をつく。2025年10月の自民党総裁選前に1ドル150円弱だった為替相場は高市内閣の誕生と同時に下落を開始。7月に163円を記録した。
その後の度重なる為替介入もむなしく、貴重な外貨準備を取り崩しながらも、円高へ反転する気配はない。
円安にはトランプ米政権によるイラン攻撃や貿易収支の悪化など外的要因もあるが、B氏は「首相が円安を容認していることが最大の要因だ」とバッサリ切り捨てる。
高市首相は従前から景気を冷え込ませるとして日銀の金融政策に強い不満を持っており、就任前には「利上げはアホ」など放言してきた。失言癖はマーケットにとっては格好の餌食で、高市氏の金融・財政政策を巡る発言が、市場で円売り材料と受け止められた場面もある。
中央銀行の独立性を無視した振舞いに対する金融市場の視線は厳しかったが、それが表面化したのが7月の「骨太ショック」だ。
円安と債券安を加速させた「骨太方針」のヤバい文言
政府の経済政策の方向性を示す「骨太の方針」の原案に、「『強い経済』の実現に向けては、適切な金融政策運営が行われることも非常に重要」といった文言が盛り込まれたのだ。政府が日銀の利上げを表立って牽制する異例の事態を受け、円安と債券安が進んだ。
政府は慌てて骨太の方針から一連の文言を削除したほか、2011年以来15年ぶりとなる米国との協調介入にも踏み切った。
米国にとっても、円安が続く中で日本政府が介入の原資として米国債の売却に踏み切られることや日本の通貨危機がアジアに波及することを防ぐ狙いがあるとされる。
もっとも、米国の協力を得ただけでは円安を防ぐことはできない上、代償も大きい。米国のベッセント財務長官はCNBCのインタビューで「日銀の植田総裁が必要な措置を講じるだろうと確信している」と述べ、日銀に対し、利上げを促した。冒頭の利上げ観測は、こうした環境を織り込んだものだ。
「消費減税という財政赤字を拡大する政策を撤回しない限り、再び通貨安に振れるのは時間の問題」とB氏は語る。













