高市首相はすでに、その常設の応援団を持っている
高市氏は違う。物価高対策、消費減税、成長投資を進める一方で、皇室、国旗、安全保障、憲法、外国人政策なども同時に動かす。無党派や高齢者から見れば、「自分の生活はいつよくなるのか」という不満が残る。
8月の調査でも政府の物価高対応を評価しない人が6割を超えている。ここだけを見れば、安倍氏より分が悪い。
だが選挙となれば話は変わる。無党派層は固定的な支持政党を持たない。離れる一方で、政策や争点によって戻る層でもある。
2026年2月の衆院選では高市氏の個人人気を前面に出し、自民党は歴史的大勝を収めた。次も同じことが起きると証明した研究はないが、それでも勝ち筋ははっきりしている。
以下は私の推論である。
日頃より熱量の高いコア支持層を失わない。交流サイトではその支持者が発信と拡散を続ける。そして選挙が近づいたところで、物価、減税、社会保険料、手取りといった無党派層にも届く大胆な政策を打ち出す。
コアを土台にして、その外側へ一気に支持を広げるのである。これは選挙戦略として強い。選挙運動は公示日から突然始まるわけではない。日常的に政治情報を追い、首相の発言を擁護し、動画を共有する人がいるほど、選挙期間に入った瞬間の立ち上がりは速い。
高市氏はすでに、その常設の応援団を持っている。無党派の好感度は政策で動かせても、こうした支持者の熱量を短期間で作るのは難しい。
安倍氏の「広く保ち続ける政治」との違い
この構造では、平時の支持率低下をそのまま選挙敗北の前兆と読む必要もない。世論調査は、その時点での評価を測る。選挙は、候補者を選ぶ行動である。必要なのは、投票日までに支持者を固め、最後に迷っている層を取り込むことだ。
高市氏のように固定支持層の熱量が高い政治家は、選挙直前の争点設定が当たったとき、一気に外側を上積みしやすい。これは安倍氏の「広く保ち続ける政治」とは違う。支持を常時広く保つのではなく、必要なときに広げる政治である。
むしろ難しいのは逆のパターンである。すなわち普段の支持率は高いが、誰も熱狂していない政権だ。
選挙になるたびに支持者をゼロから動かさなければならない。交流サイトでも自然な拡散が起きない。政策を1つ間違えれば、薄い支持は簡単に別の党へ流れる。高市氏には少なくとも、そこから始める必要がない。













