86%が残っていることは、本当に弱点なのだろうか
憲法、安全保障、外国人政策などでさらに保守色を強めても、86%を少し上に動かす余地しかない。対照的に無党派は離れている。高齢者でも支持が落ち、物価高対策への不満が強い。ならば安倍氏より危ういのではないか。
ところが、ここで考え直した。
86%が残っていることは、本当に弱点なのだろうか。むしろ高市政権の強さは、そこにある。政治学では、政党への帰属意識が強い有権者ほど投票に行きやすく、その政党へ投票する確率も高いことが繰り返し確認されている。
日本の国政選挙を扱った研究でも、組織化や動員と得票の関係は重要な論点であり、「投票率が上がれば無党派型政党が必ず有利になる」といった単純な法則では説明できない。
選挙で必要なのは、世論調査で薄く好かれることだけではない。投票所まで来て、候補者名を書き、友人に勧め、街頭演説を見に行き、交流サイトで動画を広げる人がいることだ。熱量の高い支持者は、この部分で強い。
2026年2月の衆院選では、高市氏を前面に出した自民党の動画広告が1月26日から2月7日までに1億5300万回以上再生された。日本テレビも選挙後、自民党をめぐる交流サイト上の拡散アカウント数の増加を「7倍」として検証している。
ここで安倍氏との違いが、別の形で見えてくる
広告再生数や投稿数を、そのまま票に置き換えることはできない。それでも、高市氏を中心にした選挙運動がネット上で巨大な存在感を持ったことは事実である。
そして自民党は316議席を取った。ネットが大勝を生んだと因果関係まで断定する証拠はない。だが高市氏が、従来の自民党政治とは違うデジタル上の動員力を持つことは、選挙戦略を考えるうえで無視できない。
ここで安倍氏との違いが、別の形で見えてくる。安倍氏は支持を広く保つことがうまかった。2012年末に政権へ戻ると、最初の看板に置いたのはアベノミクスだった。大胆な金融政策、機動的な財政政策、民間投資を喚起する成長戦略という3本の矢である。
2013年4月には日銀が大規模な金融緩和へ踏み込んだ。株価が動き、円相場が動き、求人倍率も改善した。そのすべてをアベノミクスの成果とするのは乱暴だが、政権が何を優先しているのかは分かりやすかった。
経済で広い支持を取り込み、その後に安全保障法制のような対立の強い政策へ進んだ。













