うまくなろうという気概がなくても、おもしろいものが書ける
松井 あと、書くことが流行ってるじゃないですけど、自分の中身を文字に書き起こすだったり日記をつけるということが流行ってきているからこそ、どう日記を書いたらいいかわからないみたいな人が多いのかなって。日記の書き方、始め方みたいなYouTubeがすごく回っていたりするんですよ。
書きたいことはあるけれど、それをどう文字に起こしたらいいのかわからないという人たちにもおすすめだなと。すごくわかりやすく、かつ楽しく、日記ってこんなに楽しく書けるし読めるんだとわかる一冊になっているのではないかなと思います。
古賀 わあ、ありがたいです。この方法で書けば絶対ユニークなことが書けると思うんです。みんなと同じにはならない。それは実感してほしいんですよね。
やっぱり、日記がつまんなくなっちゃうのって、みんなと同じだなという、その無力感とかうまくいかなさだと思うんです。この方法だと、ある程度みんな、誰ともかぶらないものになるんじゃないかと思うんですよね。
それを実感すると、すごい楽しくなっていくと思う。ものすごくうまくなくても、うまくなろうという気概がなくても、おもしろいものが書けるんじゃないかな。
松井 その人だけの視点ですもんね、本当に。
古賀 そうなんです。絶対に違うから。それはみんなわかるはず。自分の何でもない日のユニークさって実感しづらいですもんね。ああ、一日寝て過ごしちゃったなとかちょっと寂しくなったりするときもあるけど、そういう日にも絶対ある。
松井 特別な5秒が。
古賀 あるんですよね。なにかある。なきゃいけないわけじゃないんですけどね。あ、あった! ってことがわかると、ちょっと気も楽になるような気がしますよね。
松井 確かに、どんなに体調が悪くて寝込んでいても、家のどこか遠くから猫がえずく音がすると瞬時に体が動くんです。「ン、ン」みたいに聞こえてくると、はっ! みたいな、そういうことを日記に書いているときがあるんです。それを読み返すとやっぱりおもしろい。ただただ寝ているだけの日にも、とんでもない5秒があるなと思いました。
古賀 ね、そういうことですよ。そういう時間を書けばいい。
松井 実際にこの本を今同じ舞台に一緒に出演している方たちにすすめて、何人かが日記を書き始めているんです。その輪がどんどん広がっていっていて、すごくうれしいんです、私。
古賀 わあ、うれしい。そうですよね。みんなが書くようになると、結構世界の解像度が上がるなと思うので、すごく平和的なことなんじゃないかなと思うんですよね。世界が目に入るというのは。
だから、先輩風を吹かすわけじゃないですけど、みなさんが書かれるというのはすごく興奮しますね。特に演者さんとかだと独特の体験をなさってる方々だし、職業の方法論というか、一般人にはわからないような技術を使って物事をなさってる方々だから、すごくおもしろいんだろうな。
松井 それこそ舞台の上で見た景色の5秒を。以前、本番終わりにその役として日記を書いてみたらいいんじゃないというのを言っていただいたことがあったのですが、すごくおもしろいと思って。それからは印象的なことがあった日に、それこそ一瞬の出来事をわーって書くようになりました。
それによってより作品の解像度が広がったり、その日しか起きないことがあるんだなと気づけたんです。今まで目が合わなかったところでこの人と目がバチッて合ったとか、あっ、いろんなことが起きてる、忘れないようにしなきゃみたいなことに気がつけるので、すごくおもしろいですね。
古賀 すごい。それは本当のその世界にいる人にしか見えないものですもんね。
松井 その瞬間にしかないもので、終わったら忘れていってしまうことなのでちゃんと記録をつけていこうと思って。
古賀 うわあ、貴い。うわあ。
松井 でも、そう思えたのもこの本との出会いというきっかけがあるからなので。本当に出会えてよかったなと思える一冊です。
古賀 いやいや、ありがたい。本当にあちこちでご紹介いただいて応援していただきました。もう本当に心強い。本当にうれしいです。
松井 引き続き布教していきます!
古賀 ありがとうございます。松井さんがどうやって書かれてるのとか、思わぬ方法とかが知れたから、お話を聞けてうれしかったです。前の作品も拝読します。
松井 私も勉強になりました。ありがとうございました。
構成=ホーム社文芸図書編集部/撮影=山本さちこ
松井さんスタイリング=乾千恵/ヘア&メイク=菅井彩佳














