“避暑地でもプールでもない”ナイトプールを支えるSNSの憧れ

施設側も、そうした利用のされ方を想定しているようだ。同施設の女性スタッフによると、撮影を目的に訪れる利用客は決して珍しくないという。

「利用者の9割以上は女性で、泳いだり、お酒を飲みながら大勢で遊んだりする方よりも、撮影目的の方が圧倒的に多いです。開業当初からインフルエンサーの方を招待し、SNSで紹介していただくなど、宣伝にも力を入れてきました。男女のグループやカップルは利用できますが、ナンパ目的での利用を防ぐため、男性のみでのご利用は営業を始めた当初からお断りしています」

いまや、ナイトプールを楽しむことと、その様子をSNSに投稿するための撮影は、切り離せないものになりつつある。恋愛や都市生活をテーマに発信し、『東京で得た知見』(幻冬舎)などを執筆する“港区女子系コラムニスト”の妹尾ユウカ氏(28)は、自身もナイトプールを訪れた経験から、その実態をこう語る。

「ナイトプールって、東京の華やかな生活に憧れて地方から出てきた若い女性が、そのイメージを追体験する場所になっている気がします。私が訪れたときも、都会の遊びに慣れた人というより、ナイトプールそのものに憧れて、写真を撮り合っている地方出身者ばかり、という印象でしたね。

施設側もインフルエンサーを招待して、“東京の華やかな夏”というイメージをSNS上でつくっています。でも、投稿された写真ほど現場はにぎわっていません。実際には泳ぐ人もほとんどおらず、ひたすら写真を撮るだけです。涼しさを求めるなら、クーラーのきいた室内の方が快適ですから。ナイトプールは避暑地でもプールでもなく、水着姿を撮るためのテーマパークになっているのだと思います」

ナイトプールを訪れた妹尾ユウカ氏
ナイトプールを訪れた妹尾ユウカ氏
すべての画像を見る

インフルエンサーが発信した華やかなイメージを一般客が追体験し、そこで撮った一枚が、また次の誰かの憧れをつくる。猛暑の夏、ナイトプールは“泳ぐ場所”から、“都会の夏を撮る場所”へと変わりつつあるのかもしれない。

取材・文・撮影/集英社オンライン編集部ニュース班