『応援している人は実はたくさんいるんだよ』

インタビューの間、青木さんは何度も「一馬との経験を活かしたい」と語った。息子の死を「乗り越えた」なんて言葉は使えない。悲しみが消えたわけでも、後悔がなくなったわけでもない。それでも、一馬くんと過ごした時間に意味を見いだし、誰かのために活かし続けること。それが青木さん自身にとってのグリーフケアであり、生きる理由になっている。

インタビューの最後、「いま、付き添い家族の人たちに向けてメッセージを送るとしたら?」と尋ねると、青木さんは静かに、かつての自分と重なる家族たちへ言葉を紡いだ。

「いま、孤独を感じていると思います。私の場合、友達に相談ができなくなったんですよね。相談したところで、何て言ったらいいかわからないだろうし、困らせてしまうだけだろうなって思うんです」

親に支援を求めることができても、心の支えにまでなるのは難しいのが現状だ。結局、夫婦だけしか相談する人がいない。しかし、どちらかが仕事をしていれば、もう一人は病院で一人きりになる。同じ病棟のパパ・ママたちと支え合うことはあっても、日常からは切り離され、心をすり減らしていく。そんな状況を知っているからこそ、青木さんは言葉を続ける。

「だけど、『応援している人は実はたくさんいるんだよ』っていうのを、みんなに知ってもらいたい。大変だと思うけれど、少しは自分のことも労わる時間を作ってほしい。頑張り過ぎないでほしい。『子どもがこんなに大変なのだから、苦しいのを我慢するのは当たり前』って、自分を責めがち。でも、自分を大切にしてほしい。そんな気持ちが伝えられたらって思います」

群馬県立小児医療センターの前に停まるキッチンカーから、優しい湯気が立ち上る。その1杯のスープには、4歳で旅立った一人の少年と、その少年から「生き方」を教わった親の願いが、静かに息づいている。一馬くんが遺した「生きる」ことへの問いは、一杯のスープとなり、今日も誰かの心を温め続けている。

一馬くんの生きた証は誰かのエネルギーにつながっている(写真/青木佑太さん提供)
一馬くんの生きた証は誰かのエネルギーにつながっている(写真/青木佑太さん提供)
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取材・文/加賀直樹
(写真/青木佑太さん提供)