大繫盛店でも中高生割引を続ける理由

なぜ昭和50年創業の純喫茶が、今になって百名店に選ばれたのか。それはXでバズったときと同じように、店を変えたからではなく、“知ってもらえたこと”が大きいのだろう。

王城がなるべく変えないようにしているものは、メニューだけではない。値段もその一つだ。現在は原材料費や光熱費が上がり、値上げを避けられない場面も増えた。それでも価格をできる限り抑えるため、グッズや通販の収益を店の運営に回している。

店主の玉山珉碩さん(撮影/ライター神山)
店主の玉山珉碩さん(撮影/ライター神山)
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さらに、平日でも一日中ほぼ満員になる店にもかかわらず、中高生割引も行なっているから驚きだ。

「物価高騰の中でも、学生さんに気軽に来てもらって、王城の味を知ってもらいたいんです。ここで食べたスパゲッティやパフェが、20年後、30年後に、学生時代や一緒に来た人を思い出すきっかけになるかもしれない。食べ物は、記憶のアルバムのようなものだと思っていますから」

実際、玉山さんのもとには、「母が若い頃、東北から上京して王城を訪れ、こんなおいしいものがあるのかと感動したそうです」「メロンソーダを飲んで、当時のことを思い出しました」といった声が届くという。

こうした客が一人でもいる限り、王城を続けていきたいと玉山さんは話す。店がどれだけ評価されても、オーナーの心意気と店の味は、これからも変わらずにあり続けてくれそうだ。

取材・文・撮影/ライター神山