「昼間に開けた場所へ出るのは自殺行為」

2022年2月に始まったロシアによるウクライナ侵攻は戦争の姿を大きく変えた。開戦当初、戦場の主役は戦車やロケット砲、軍用機だった。しかし今、戦況を左右するのは無人機(ドローン)だ。

数百ドルから数千ドルで製造できる小型機が数百万ドルの戦車を壊し補給路を寸断する。さらに数千キロ離れた航空基地や製油所まで攻撃対象となり、「前線」と「後方」を分けてきた従来の戦争観は揺らぐ。

ウクライナ軍の内部推計では、2024年のロシア兵への攻撃の69%、車両・装備への攻撃の75%をドローンが占め、砲撃を大きく上回った。機体のカメラ映像をゴーグルなどで見ながら、目標へ突入させる一人称視点(FPV、First Person View)ドローンが支配する前線では「昼間に開けた場所へ出るのは自殺行為」との声も聞かれる。

ロシア・ウクライナ戦争で使用されている戦術ドローンのうち、最も多用されるFPVドローン(写真/共同通信社)
ロシア・ウクライナ戦争で使用されている戦術ドローンのうち、最も多用されるFPVドローン(写真/共同通信社)
すべての画像を見る

戦争の長期化とともにドローンは「目」から「武器」へ

戦争の姿を変える一つの転機となったのが、2025年6月の「クモの巣作戦」だった。ロシア国内に秘密裏に持ち込まれた小型ドローンが戦略爆撃機を破壊し、ウクライナから遠く離れた深部は安全、との神話を覆した。