北海道に初めて優勝旗をもたらしたあの投手も

4位 高橋光成
(前橋育英・2013年)

4位は無尽蔵のスタミナと完全なる失点抑制を両立させた高橋だ。圧倒的なイニング数を消化しながら、現代の継投エースをも凌駕する防御率を記録した、2013年前橋育英の高橋光成を選出する。彼の実績は、「ワークロードの大きさ」と「極限の失点抑制」が奇跡的なバランスで融合した究極のスタッツである。

高橋光成の特筆すべき点は、50イニングという、2000年代の「一人で投げ抜くエース」に匹敵するワークロードを担いながら、防御率を0.36という信じがたい数値に抑え込んだことである。50イニングを投げて自責点はわずかに2。これは、2012年の藤浪や2023年の慶應・小宅雅己(28イニング・防御率0.64)と比較しても、その難易度の高さは明白である。

投球回が増えれば増えるほど、打線が複数回対戦することで目が慣れ、また疲労による失投のリスクが高まるため、防御率は悪化する傾向にある。しかし高橋は、2年生でありながら全6試合に登板し、強打者たちを抑え込み続けた。大崩れする気配を全く見せなかった。

彼がマウンドにいる限り「複数失点するビジョン」が描けないという状況は、味方打線に「1点取れば勝てる」という絶対的な精神的優位性をもたらし、相手チームには早打ちや無理な攻撃を強要する強力な波及効果を生んだ。イニングの量と質、その両面において甲子園の頂点を極めた高橋光成のパフォーマンスは、データが証明するトップクラスの投手にふさわしい。

〈防御率わずか0.50〉21世紀夏の甲子園“最強の優勝投手”ランキング…伝説の試合を制したハンカチ王子を抑えた歴代最強投手は?_2

3位 田中将大
(駒大苫小牧・2005年夏)

3位の田中は、歴史的な空振り奪取能力を見せた。2005年、2年生エースとしてチームを連覇に導いた田中将大(翌2006年は準優勝)は、主にリリーフとしての登板(25回3分の2)であったが、その限られたイニングのなかで刻んだスタッツは、甲子園の歴史において最も暴力的なまでの「空振り奪取能力」を示している。

具体的には、田中の最大の特筆事項は、25回3分の2イニングに対して38個の三振を奪ったことである。これは、1試合完投すれば13個から14個の三振を奪うペースである。高校生同士の対戦とはいえ、この数値は他を圧倒している。

また、防御率こそ2.81と、一見すると上位の他投手に比べて隙があるように見える。しかし、守備に依存しない防御率の観点から言えば、田中の投球は極めて支配的であった。三振を奪うということは、ボールがインプレーになり野手のエラーや不運なポテンヒットが発生するリスクを「ゼロ」にするということである。

当時の田中が投じた高速スライダーは、プロの打者にも通用するレベルだったため、この観点から見てもトップ3に入るレベルだったのは間違いない。