「年収200万円だと結婚相談所にも入れない」
若者の所得を上げること、雇用を安定させること、住宅負担を軽くすること、保育の待機や質の地域差をなくすこと、男性の育児参加を当たり前にすることが欠かせない。出産や子育てを個人の努力に押しつける限り、状況は改善しにくい。
同時に、政策の見せ方も変えるべきだ。予算額の大きさではなく、どの施策がどの層に届き、どの程度の効果を出したのかを毎年公開する。成果が乏しい事業は見直し、効果の高い支援に重点配分する。自治体ごとの成功例や失敗例も共有し、地域の実情に合った対策を広げる必要がある。
さらに出生数の問題は婚姻数の問題とも密接に関連している。結婚して家庭を持つことを目標に自身の婚活経験を漫画『独りで死ぬのはイヤだ 年収200万円、48歳独身漫画家の婚活記』にした中川学さんはいう。
「本当は結婚相談所に入りたかったんですが、年収制限で条件を満たせずに入会できませんでした。年収200万円だと、マッチングアプリはできるけど、主だった結婚相談所には入れないんです。そんな状況では、結婚もその後のライフステージもなかなか描けるものではないと思います」
中川さんのように就職氷河期世代で、その意思があっても結婚できない人は少なくない。出生数の減少は、こども家庭庁への批判だけで解決する問題ではない。しかし、批判を「誤解」と片づけるのも危うい。国は、若い世代が将来を描けない理由を正面から受け止め、予算の使い道と成果を具体的に示すべきだ。
少子化対策の目的は数字を増やすことだけではない。子どもを持つかどうかにかかわらず、誰もが将来に過度な不安を抱えずに生きられる社会をつくることこそ、最も重要な出発点である。
取材・文/集英社オンライン編集部













