もし課税されると「明治神宮や靖国神社は存続の危機」
一方でデメリットも大きい。都内の宗教関連施設で働く50代男性がいう。
「宗教法人と言っても、一括りにどこからどこまでの話なのでしょうか。例えば、都内の一等地に広大な敷地を持つ明治神宮や靖国神社は、課税の方法次第では年間で数十億円の課税が新たに加わることになり、存続の危機となります。
神社仏閣の維持費は安くありません。さらに莫大な課税がかかるとなると、維持できなくなるところも出てくるでしょう。それは結果的に日本文化の損失につながることになります」
さらに税務対応には、規模にかかわらず一定の固定コストがかかる。
小規模な寺社や教会ほど負担が重くのしかかりやすい。資産への課税が強まると、建物の維持・修繕や文化財の保存、地域行事の継続が難しくなるおそれもある。
加えて、「宗教活動」と「収益」の境界は実務上あいまいになりやすい。線引きがはっきりしないままだと、自治体や担当者によって運用がばらつき、当事者の見通しが立ちにくくなる。その結果、相談や調査対応の手間が増え、争いも起きやすくなる。
また、課税制度が特定の宗派を狙ったものとなった場合には、信教の自由との緊張が高まり、社会の分断を招いて政策の正当性が揺らぐ可能性もある。
結局、現実的な落としどころは、宗教活動そのものに一律で課税するのではなく、収益事業課税の定義と運用を明確にする方向に寄せることになる。
高市首相が公約に掲げた「食料品の消費税ゼロ」の実現のためには年間5兆円の財源が必要となる。「宗教法人への課税」は代替税収の確保のためには十分な財源となり得るが、代償も大きそうだ。
取材・文/集英社オンライン編集部













