関わることにストレスを感じるようになる

しかし、配属されて3か月も経ったころ、Iさんの言動に対して、島田さん以外のメンバーも少しずつ疑問を抱きはじめました。

Iさんは、ここ1か月、部署で週に1、2回ほど開く会議に毎回5~10分程度、必ず遅刻してきます。新人ということもあって、会議で使用する資料などはIさんが準備することになっており、会議の記録係も兼ねています。

しかし、Iさんは会議直前まで別の仕事をしていたり、外出先(ランチなど)からギリギリに帰ってきて資料の準備を始めたりするため、会議には間に合いません。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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Iさんが配属された最初の2か月は、島田さんがIさんと一緒に会議の準備をしていたため、Iさんは遅れずに済んでいました。しかし、先輩たちから「そろそろ会議はIさん一人に任せる時期じゃないかな」と言われ、Iさんに一人で準備させることになりました。

その途端に準備が間に合わず、毎回遅刻するようになったのです。

Iさんは、遅刻の度に謝りながら会議室に入ってくるのですが、会議では思いついたアイディアを次々と提案したりもします。新人ながらどんどん意見を言えることは素晴らしいのですが、彼女は自分が思いついた良いアイディアがあると、他の人が発言している途中であっても自分の意見を被せてきたりします。

また、発言の機会がもらえると、場の空気や会議の時間を読まずに、長々と自分の意見を披露しています。

にもかかわらず、他の人が発表しているときは、途中で口をはさんだり、興味なさそうにペンを回したりしていたので、会議の議事録も正確とは言いがたいものでした。

写真はイメージです(写真/Shutterstock)
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Iさんは、徐々に他の社員から反感を買っていましたが、彼女自身がそのことに気づいていたのかどうかわかりません。しかし、少なくとも気にしている様子はなさそうでした。

島田さんは、自分が教育担当として責任を果たせていないような気持ちになり、同僚からクレームめいたことを言われると、Iさんの代わりに謝ったりして肩身の狭い思いをしていたそうです。

上司は、Iさんの会議での態度、特に人の発言をちゃんと聞かないことや遅刻が多いことなどについて、本人に軽く注意することもありました。しかし、それ以上にIさんの度胸やアイディアを面白いと褒めることのほうが多いため、注意が効いているとは言いがたいようでした。

島田さんや他のメンバーは、このような上司のIさんに対する対応を甘いと思っていますが、それを上司に言うことはできません。結果として、島田さんが割を食っている状況となり、だんだんとIさんと関わることにストレスを感じるようになってきたということでした。