「スクランブル・レースの巻」(ジャンプ・コミックス9巻収録)

今回は、中川に誘われた両さんが、かな~りの高所で空中サッカーに興じるお話をお届けする。

空中サッカーといっても、ヘディングでボールを奪い合う、いわゆる「空中戦」を指しているわけではない。

ましてや、子供たちが真似をして怪我人が続出したという都市伝説を持つ、漫画『キャプテン翼』中に登場する技・スカイラブハリケーン(仰向けになった選手の足の裏にもうひとりの選手が足を乗せ、ふたり分の脚力を使って高くジャンプする)でもない。

ここでいう空中サッカーとは、戦闘機に乗った選手達が、機体でボールを弾き飛ばして競う遊びだ。こんなことが実際に可能なのかは極めて疑問だが、大空をグランドに見立てて飛び回るのは、さぞかし気持ちがよいだろう。

ちなみに中川が披露した飛行機のコレクションは、彼のスーパーカーコレクションに劣らぬ壮絶なラインナップだ。

本作が描かれた当時の主立った戦闘機群はもちろん、第二次世界対戦時の名機フォッケウルフ Fw190、ボディとプロペラエンジンが2つずつあるロッキードP38ライトニング、1960年代に誕生しながらいまだに世界最速機であり続けるR-71ブラックバード、はては共産圏であるソ連のMiG-25までがそろっている。

ちなみに両さんに貸し与えられた機体は、ロッキードF-104スターファイター。1950~1960年代の超音速ジェット戦闘機で、本作が描かれた時点ですでに軍隊では運用されていなかったロートル機だ。

しかし両さんはこの機種が気に入ったのか、1991年に描かれた「両津オークションの巻」(ジャンプ・コミックス114巻収録)では、玩具などのコレクションを売り払って費用を捻出し、中古のF-104を購入している。やはり両さんは、高いところがお好きなようだ。

「両津オークションの巻」より。誤って緊急脱出装置を作動させ、座席ごと機外に射出されてしまう。かくして両さんのマイ戦闘機の初飛行は、最終飛行と相成った……
「両津オークションの巻」より。誤って緊急脱出装置を作動させ、座席ごと機外に射出されてしまう。かくして両さんのマイ戦闘機の初飛行は、最終飛行と相成った……

それでは次のページから、大空で繰り広げられる規格外のサッカー大会観戦をお楽しみください!!