外国人観光客の多いタイが行っている対策

「タイは観光大国で世界中から旅行者がやってきますし、必ずしも彼らがタイの文化や宗教を理解しているわけではないので、やはり“マナー違反”やふさわしくない行為の例は頻繁に報道されています。ただ、故意ではなく無知からその行為に至った場合には笑って済まされることも多いです。一方、仏教関連で不敬に値するような行為は無知であっても社会的に批判されることが多い印象です」

しかしながら、批判こそ起こるものの外国人観光客を拒否しようという意識は、日本人と比べてタイ人のほうが希薄だという。その理由について、PKさんは以下のように述べた。

アユタヤ遺跡(写真/Shutterstock)
アユタヤ遺跡(写真/Shutterstock)
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「日本と異なり隣国とは陸続きではるか昔から異文化に慣れていること、また現在では観光は大切な収入源であるため、それを排除するような方向にはなりえず、いろいろなマナー違反や不祥事を経験しながらも、それらと折り合いをつけていくのがタイのスタイルではないでしょうか。

今回の写真の看板も、このように表示することでマナー違反をあらかじめ防止しながら観光客は引き続き受け入れるということを示しています」

外国人観光客の増加にともない、地元住民の生活や景観などに悪影響をもたらすオーバーツーリズムが顕在化されてきた日本。タイの「折り合いをつけていくスタイル」は、まだインバウンド慣れしていない日本にとって今後の対策の参考になるかもしれない。

取材・文/集英社オンライン編集部